新規顧客は、既存顧客の5倍の手間がかかる
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『既存顧客=一度でも会社にアプローチしてくれたお客様』から攻める、という鉄則
会社を再生・発展させるために売上アップを図ろうとした時、最優先で取り組んでいただきたいこと。それは、『既存顧客=一度でも会社にアプローチしてくれたお客様』から攻める、ということです。
しかし、売上が思うように上がらない企業は、営業経費をかけ、与信リスクを顧みず、時間対成果も無計画のまま、売上につなげることが難しい『新規顧客』からまず攻めてしまっているのが現実です。もちろん、事業を拡大していきたい意向があるのなら『新規顧客』を獲得する努力は常に必要なのですが、ここで考えていただきたいことがあります。
『新規顧客』を獲得するためには、『既存顧客』で売上を上げる以上の力と時間を投入しなければならないということ(一説には、4倍とも、5倍とも言われています)、また、受注の確率も『新規顧客』よりも『既存顧客』の方が高く、値引きリスクも少ないという実証された統計データが出ている、ということです。
この事実が前提にある以上、短期間で売上を上げられる確率も『既存顧客』から攻めた方が上がるのはある意味当然、ともいえるでしょう。
ここまでお読み頂いて、「いや、既存顧客を攻めても大した売上にならないが??」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、『既存顧客』へのアプローチで売上を上げられるかどうかは、これから説明するポイントを理解した上で行動を取っているか、でも変わってきます。
『既存顧客』へのアプローチに失敗する理由
『既存顧客』は、次の2つに分類されます。
1.『実際に購入してくれたお客様』と
2.『購入はしていただけなかったけれど、今後の購入可能性がある見込顧客』
ポイントは、2つ目の『購入はしていただけなかったけれど、今後の購入可能性がある見込顧客』です。
『既存顧客』へのアプローチで売上を上げられない会社は、知らず知らずのうちに「今後の購入可能性がある見込顧客」を『まだ購入してくれない顧客』と考え、購入しない原因を勝手に作り上げ、後追いをせずにあきらめてしまうケースが多いです。
さらに状況が悪い会社になると、1つ目の『実際に購入してくれたお客様』について、いずれまた購入してくれるだろうと勝手に判断し、放置してしまいます。※理論上では、このように放置してしまう(既存顧客への接触を断ってしまう)ことで、1年で20%程失うことになります。
『既存顧客』さえも満足させられずして、果たして『新規顧客』を満足させられるのか?~そしてその思想は、御社の財務にも反映される~
一方、利益を上げている会社は、既存顧客を大事にし、いかに自分たちが役に立て続けられるかを考え、そのために新たな商品、サービスを提供し続けています。新規開拓については既存顧客への活動をベースに、あせらず実行している会社なのです。
財務的見地から説明すると、売上アップを図るということは、すべての商品、サービスがお金に変わるまでには、それまでの経費は、自社の内部留保してきた資産をあてなければならないということです。
このことに気づいていない経営者は多く、売上欲しさに無駄な投資を続けてしまい、結果として資金が足りなくなれば金融機関に融資依頼をすることになります。そして、投資した(お金をつぎ込んだ場合)後に、融資がNGとなってしまったらどうなるでしょう?
当然、資金繰りが一気に厳しくなります。こんなことは避けたいですよね。こうならないためにも、まずは、『既存顧客』を掘り起こす行動を取っていただきたいのです。
それでは、『既存顧客』をどう攻めたら良いでしょうか?
一般的に電話にての直接フォロー、もしくはダイレクトメールやニュースレターの送付でしょうか?それとも、電子メール?実は、手法から考えては正解になりません。
売上を上げ続けるために、まず考えていただきたいこと
大切な事は、なぜ、お客様があなたの会社から商品・サービスを購入したのか(しなかったのか)を理解し、お客様に欲しいと考えていただける『商品』は何か?を考える事です。
その『商品』が決まらなければ、売上を上げ続けるための戦略も生まれませんよね。
「お客様に欲しいと考えていただける『商品』は何か?」
ここを徹底的に考え抜くことが、売上を上げ続けるための戦略の原点、スタートとなります。自分たちがお客様に提供できる商品は何なのか、自ら確信を持てない限り、自信をもってお客様にお話することもご理解いただくこともできないのですから。
その作業を経て、自分たちの商品に確信が持てた段階ではじめて、自社の商品やサービスの内容を落とし込んだ、メールの文面やニュースレターを作成する工程に入ります。ただ、この作成も慣れないうちは、なかなか大変なことかと思います。
『既存顧客』は最も大切な資産である
『既存顧客』というのは、貸借対照表には乗らなくとも会社にとって最も大事な資産です。それを無視して新たに宣伝広告をかけることは資産をわざわざ捨ててしまうようなもの。有効活用できるように、フォローの仕組みを整えましょう。