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銀行の考え方を知るために財務分析をどう見るか

銀行の考え方を理解できるようになるために

決算書の数字を分解し、どのように財務分析していくか。財務分析の仕方は、銀行、経営者と、立場によって変わってきます。この違いによる財務分析の方法が理解できるようになると、銀行の考え方がだんだんと分かるようになっていきます。

 

また、経営者自身が財務分析できるように自分自身を訓練していき、決算書の数字の解釈ができるようになっていくと、経営を行うにあたって、決算書を有効活用できるようになっていきます。

銀行が行う財務分析を、経営者がそのまま信じてはダメ

銀行が、どのような目的で財務分析しているか、次の2点がポイントとなります。

 

  1. お金を貸している間、会社が倒産しないか
  2. 仮に今、会社を清算しても、貸したお金は返ってくるのか

 

銀行は企業にお金を貸し、回収することで成り立っているので、銀行の立場からすると、回収の可能性を検証するための財務分析を行うことになります。

 

一方、経営者の方は、会社を永久に存続させることを前提に、会社を経営していますよね。経営者は、会社の存続を目標とする。この観点からすると、経営者の方の、財務分析の目的は、次の3点となります。

 

  1. できる限り長く、安全に、会社を存続・発展させること
  2. 未来に向かって、より資産と純資産を手厚くし、負債は必要なだけに留めること
  3. 現在持っている資産を確認して、その構成の改善へとつなげること

 

具体的な例を挙げてみましょう。現在のデフレ経済においては、不要な資産を処分し、貸借対照表をスリム化し、不要な資産を持たないことが正しいと、言われています。

 

資産を少なくした場合、ROA(総資産利益率)という指標は、向上します。

 

※ROA=利益/総資産
資産をより効率的に利益にしている企業を評価する指標なので、同じ利益であれば、資産は少ない方がよい数値になります。

 

ROAが向上するということは、上記に述べた、経営者が行う財務分析の目的から見ると、良いことになります。

 

しかし、銀行の融資審査の場面での財務分析は、ROAのような、資産が小さいほど数値が良くなるような指標は、あまり重要視されていません。なぜかというと、銀行にとって、企業の総資産が多ければ多いほど、担保として銀行に出してもらえるものが多くなるから、です。

 

銀行が、ある程度融資取引が大きくなった企業に、不動産の購入を勧めることが多いのは、そのような背景があります。「返済が進めば、それが資産となって御社に残りますよ。だからそろそろ、自社ビル(工場)はいかがですか?融資しますから。」銀行担当者にこんなことを言われたことのある方、銀行員のこの言葉の背景には、このような思惑があります。

 

要するに、銀行が企業の決算書を財務分析する目的は、会社を今すぐに清算した場合、銀行にとって損害(貸倒れ)はどれぐらいになりそうかを見ることが第一ということ。

 

一方で、経営者が自分の会社の決算書を財務分析する目的は、永久に会社が存続し続けるためには、自分の会社の決算書はどうあるべきか、見るためということ。

 

今すぐ会社を清算した場合にどうなるかという観点から見た財務分析と、会社が永久に存続していくためにはどうするかという観点から見た財務分析とでは、財務分析を行う目的が異なってくる、ということ。

 

それが、銀行側から見た財務分析と、企業側から見た財務分析との違い、ということになります。

 

経営者が持つ悩み、「どうすれば、将来に渡って安定した経営ができるか」という悩みに対処していくためには、資産、負債、純資産を実態に合わせて財務分析し、銀行、経営者、それぞれの財務分析の見方を理解することが必要です。

 

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