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実効金利の考え方を企業は知るべき

表面金利と実効金利とは

銀行は、融資の金利を、表面金利、つまり一般的に言われる「金利」だけでは見ていないこと、みなさんは御存知ですか?表面金利とともに、銀行は「実効金利」という見方を、行っています。あなたの会社は、ある銀行から融資を受けて、金利で計算された利息を支払っていますよね?

 

一方で、その銀行に預金を行い、預金利息を受け取っています。融資と預金、その両方を行っているところから、実効金利の考え方は出発します。

 

実効金利の計算式は、次のとおりです。

 

(支払利息-受取利息)÷(融資総額-預金総額)

 

に100を掛けると、あなたの会社の、ある銀行に対しての、実効金利が計算されます。あなたの会社が、A銀行に対し、以下のとおりとします。

 

年間の平均融資残高8,000万円 平均融資金利2.5% 年間支払利息200万円
年間の平均預金残高5,000万円 平均預金金利0.1% 年間受取利息5万円

 

これであれば、実効金利は、以下のとおり計算されます。

 

(200-5)÷(8,000-5,000)=0.065 → 6.5%

 

つまり、A銀行はあなたの会社から、実質的に195万円の利息を支払ってもらい、また8,000万円を融資する一方5,000万円を預けてもらっていて実質的に3,000万円を融資しているだけであることから、195万円を3,000万円で割って、A銀行はあなたの会社に対し、実質的に6.5%の金利で融資を行っていることとなります。

 

あなたの会社は、A銀行から2.5%で融資を受けていると思っていたのに、実質的には6.5%の金利となっていた。あなたも、融資を受けている銀行、1行1行で、このような計算をしてみてください。きっと、驚いてしまうことでしょう。銀行の内部では、このような考え方は当たり前に行っています。いかに融資先1社1社に対し、実効金利を上げるか、ということを考えています。

 

銀行が実効金利を上げるには、上記の計算式から、次の方法が考えられることになります。

1.融資金利を引き上げる。
2.預金金利を引き下げる。
3.平均預金残高を上げる。

1.融資金利を引き上げる

これを行うためには、銀行は企業に(1)今ある融資の金利を引き上げてもらうか、(2)新たに出る融資の金利を高めに設定してもらうことになります。ただ、どこの銀行も融資をしたくなるような財務内容が優良な企業であれば、そんなに簡単にはいかないことでしょう。

 

この策は、財務内容が良くなく、どこの銀行もなかなか融資をしてくれない企業に特に、ねらわれてしまう策となります。

2.預金金利を引き下げる

これを行うためには、金利が0%である当座預金に預金を置いてもらう、という策があります。しかし当座預金は、小切手や手形の発行が前提となる預金であり、簡単に作れる預金口座ではありません。

 

また、銀行は融資先企業に、預金を、融資の保全(貸倒れとなった時に返済に充てるためのもの)のため、解約しにくい預金である定期預金になるべく入れておいてもらいたいと思うものであり、定期預金は金利が普通預金に比べ高めになるため、そうすると預金金利が引き上がってしまうことになります。

 

こう考えると、銀行は預金を引き下げる策を、意識的に行っていくことはなかなか難しくなります。

3.平均預金残高を上げる

銀行は、融資先企業に、なるべく多くの預金を自分の銀行に置いてもらうことにより、平均預金残高は上がります。あなたの会社は、融資を受けている銀行から、なるべく自分の銀行に預金を置いておいてほしい、と言われたことはありませんか?

 

その理由は、実効金利を上げるため、です。

 

また、銀行から、なるべく売上入金は自分の銀行に入れるようにしてほしい、振込は自分の銀行から行ってほしい、ということも言われることがあると思います。その理由の一つが、実効金利を上げるため、です。売上入金が自分の銀行に入れば預金残高は上がりますし、振込を多く行う預金口座であれば、便宜上預金残高を上げておく必要が企業にあることになります。

実効金利という考え方を企業は知っておくべき

企業は、融資の金利を、表面金利でしか見てみない場合がほとんどです。一方、表面金利とともに実効金利という考え方があり、銀行は表面金利と実効金利、この両面で見ています。しかし実効金利という考え方は、今までの「金利」と言われてきたものはなんだったんだ、ということを企業に思わせてしまうため、銀行は企業に、実効金利という考え方を知ってほしくないのです。

 

あなたは実効金利という考え方を知り、融資を受けている銀行1行1行でその計算をしてみると、実際、多くの金利を銀行に支払っていることに気づくことになります。

 

そうすると、どこの銀行からも融資を受けてほしいと言われる「強い立場」の企業などは、実効金利をもとに、融資金利の引き下げ交渉もできることになります。表面金利とともに、実効金利で、金利というものを考えてみるようにしてみてください。

 

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