連帯保証の重さと役員報酬
連帯保証の重さと役員報酬
連帯保証の責任はとてつもなく重いです。個人の住宅ローンのようなものとは別に、何百万から数十億円という単位で、社長は自分の借金とは別の返済責任を負っています。私は元々銀行員でした。その頃は何の気兼ねもなく、「ここに連帯保証人のサインとハンコをお願いします」等と日常的に言っていたものです。
それが本当にどれ程重いのか、恥ずかしいことに考えていませんでした。銀行を辞めて、自分が借金をするときになって、やっと気付いた時にはすでに遅く、深く反省しています。その署名と押印は、社長にとって自分の人生が、自分と家族のものだけでなく、会社・従業員・取引先等の社会的責任を負うことになるのです。
本来、会社が存在するということは雇用を守り、経済を回すという点で、それ自体に価値があります。そのために会社の借金の連帯保証をするということは、社会貢献ともいえます。それが、どれだけ重いのか、この点がなかなか周りに理解してもらえません。
儲かっている時はたくさん(報酬を)もらっているのだから、苦しい時は我慢しろ、と言われることでしょう。でも、結局何かあれば全て自分の責任と思うと、文句の一つも言いたくなりますよね。
役員報酬は、法的根拠とは別に、「社会貢献料」を含みます。だからこそ、社長には報酬を受け取って頂きたいのです。その上で、誰にも不満に言われない状況を再構築しなくてはなりません。
銀行に対しても、整合性の有る限りは報酬を
程度の問題があることは当然ですが、責任を感じるあまりリスケ等の依頼をする際に、過度に自らの報酬を下げてしまう社長は多いです。少なくとも、「借入返済を、ご自身の生活費やお子様の教育費等を削ってでも続行する」ことは、あってはなりません。
万一、そうしてしまっていたら、再度交渉をやり直すべきです。大半の場合、生活費や養育費を削ってしまっている事実を銀行側は認識していません。意地悪に言えば、言わないと認識してくれません。そして、銀行は人の最低限文化的な生活を、侵して融資を回収する権利を持ちません。
大事なことは、ある程度下げなくてはいけないとなったとしても、「うまくいったら元の報酬金額に戻せる」ではなく、「うまくいかなくとも、最低限度は守れる」という水準をあらかじめ理解し、死守すること。ギャンブル的な思考や「これがダメならおしまい」という状況ははじめから回避しないと、腰を据えて社長としての業務をこなし続けるのは困難です。
もし、今そうなっているとしたら?今すぐそこから脱却しなければなりません。最低でも資金収支が均衡できるように、一つずつ丁寧に対策を実行しましょう。
なにかあった時には、連帯保証人としての責任が発生する重大な立場です。だからこそ自らの生活は確保するべきなのです。