赤字企業が銀行からどう融資を受けるか
営業利益、経常利益が赤字であると融資審査は不利になる
利益が赤字である企業は、融資審査は大きく不利になります。
損益計算書における利益とは、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期利益、当期純利益とありますが、銀行が融資審査において重視するのは、このうちの営業利益・経常利益です。
なぜ、最終利益である当期純利益を重視しないのか。
それは、当期純利益は、その期のみの特別な利益や特別な損失である、特別利益・特別損失の影響を大きく受けるが、営業利益、経常利益は、その影響を受けないからです。
営業利益、経常利益は、その企業がどれだけの利益を稼ぐ力があるかを表すものです。銀行が行う融資審査は、第一に、融資先企業が最後までしっかり返済する力があるかどうかという観点があり、それを見るためには、営業利益、経常利益が適しています。
営業利益や経常利益が赤字である企業は、融資返済のもとである利益が稼げない企業ということで、融資審査には不利になります。
営業利益、経常利益が赤字でどう融資を受けるか
ではそのような企業が、融資を受けられるようにするにはどうしたらよいのでしょうか。先ほど述べたように、企業が利益を稼いで、その利益をもとに銀行に融資を返済してもらうことを、銀行は求めています。
その力を見るために、営業利益や経常利益を銀行は見るわけですが、見方を変えると、その利益はあくまで「過去の利益」にしかすぎません。融資の返済は、過去の利益から行うのではなく、将来の利益から行うものです。
そう考えると、企業の利益が赤字でも、将来の利益は黒字になり、その利益により融資の返済が行われることを、企業は銀行に理解し納得をしてもらうようにすればよいのです。
では、現状が赤字でも、将来は黒字になることを、銀行に納得してもらうようにするにはどうすればよいか。ただ数字だけ並べて、将来は黒字になるよ、と銀行に伝えても銀行は納得するわけないですよね。それであれば、数字を並べて将来は黒字になる損益計画を銀行に示すとともに、なぜ自分の会社は将来、黒字になるか、その根拠を銀行に示せばよいわけです。
赤字企業が黒字化になるには、次の3つしかありません。
- 売上を上げる。
- 粗利率(売上高総利益率)を高める。
- 経費を削減する。
この3つの視点をもとに、どうやって黒字化をはかるか、それを文章にして銀行に説明します。赤字が黒字になる損益計画と、その根拠となる文章、それが、事業計画となります。赤字企業が銀行から融資を受けやすくするには、この事業計画の作成が必須です。
銀行に提出する事業計画に入れておいた方がよいこと
また、この事業計画に入れておいた方がよいことは、他の銀行の、企業に対する融資スタンスです。
企業が、融資の返済をできなくなるのは、赤字に転落し返済の元手がなくなることが一つですが、それとともに銀行から新たな融資が出なくなることが、一つの大きな理由です。
利益を大きく稼いで、その利益だけで返済の全てをまかなえる中小企業はなかなかありません。
融資の返済を行うに連れて、企業が保有している現金預金が少なくなり、新たな借入を行って、減少した現金預金の補てんを行うのが、中小企業の普通の姿です。
その新たな融資が出なくなるということは、返済ができなくなる、ということです。
ここから考えると、銀行は融資審査を行う時に、他の銀行はその企業に融資を出すスタンスなのかどうか、ということが一つの大きな観点となります。
他の銀行も変わらずに融資を定期的に出してくれているのであれば、そのことを銀行に聞かれなくても、企業から銀行に説明すると、銀行は安心することでしょう。この、他の銀行の融資スタンスは、事業計画に盛り込んでおくと、良い事業計画になります。
毎期黒字が出る経営を
このように、企業の利益が赤字の場合に、銀行から融資を受けやすくするには、事業計画を作って銀行に提出することが、一番の方法です。それでも融資が出ないのであれば、リスケジュールを考える時です。
また、事業計画で1回や2回、融資が出ても、その計画通りに黒字化を図ることができず赤字が続くのであれば、事業計画で融資を受けることもやがて困難となります。毎期毎期、黒字を出し続ける経営が、経営者には求められます。
⇒【関連記事】外的要因に大きく影響を受けない財務体質を構築した事例
エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。新たな資金調達を得たいや、返済・資金繰りが厳しいなどのお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。