営業マンの抵抗
われわれが、営業マンが売上を作っていくことが主体の会社において、売上が上がる仕組みの構築に入る時、いつも問題となるのが、、
営業マンの抵抗
です。売上が上がる仕組みの構築のためには、それを構成するいろいろな仕組みを導入していく必要がありますが、例えば思い浮かぶだけでも、
営業マンが営業に使うツール(それだけで見込客の興味を大きく惹きつけられるツール)
- 新規見込客・既存取引先ごとの商談記録
- 電話アポイントの手順表(こう言われたらこう話す、というもの)
- アポイント率を高めるための事前郵送物
- 営業訪問の際の話し方
- 新規見込客発掘のためのホームページ
- ホームページのアクセスアップ手法
- 新規見込み客発掘のためのダイレクトメール
- とびこみ電話営業のための新規アプローチ先のリスト
などなど、売上が低迷してしまっている企業は、これら「売上が向上していっている企業には存在している仕組み」のほとんどがない状態であり、その仕組みを構築していくことによって、売上を向上させていくことになります。
ただ、これらはあくまで道具でしかなく、実際に売上が上がる仕組み構築のために重要なのは、言うまでもなく、それを活用する営業マンの「行動」です。
売上が低迷している企業のほとんどでは、その営業マンの「行動」ができていない状態であり、その「行動」ができていくことによって、その企業の売上は向上していくことになります。
具体的には、
- 電話アポイントをとる。
- 訪問では、営業マン独自のやり方ではなく、新規見込客・既存取引先の担当者の興味を惹きつけやすい、話し方、ツールの使い方を行う。
- 見込客もしくは取引先に電話もしくは訪問時に話し合った内容を、商談記録として入力する。
- 1ヶ月に1回や2ヶ月に1回など、見込み客や取引先と接触し、最新の情報を得、取引の機会をうかがう。
などが、営業マンの「行動」となります。
ただ・・・
売上が低迷している企業は、ほとんどの場合、このような「行動」をとっていくことに、営業マンが「抵抗」を示してきます。場合によっては、営業部長や、時には社長も、抵抗を示してきます。例えば、既存取引先に、こちら側から自主的に定期的に訪問し、話を聞きにいくこと。
それすらもやってこなかった企業が、売上が低迷している企業には多いのです。
例えば、この1年で80件の取引先から仕事をもらったとします。
そのような既存取引先に対し、何もない時でも、こちら側から、何か商談の機会はないかと話を聞きにいったり、もしくはあなたの会社の最新情報を伝えにいったりはしていますでしょうか。
それを行わないと、あなたの会社が仕事を受けてきた取引先に対しても、あなたの会社の同業他社が営業をかけてきて、一方であなたの会社は営業に行かないから、そのすきに同業他社に、新たな仕事をとられてしまいます。
営業マンが営業訪問をすることにより売上を上げていく会社であれば、その取引先は、リピートして仕事がくる取引先であることが多いでしょう。それがリピートしないのは、何もない時でもあなたの会社側からその取引先に接触することを行っていないからであり、それで、どんどん取引先をなくしてしまっているのです。
普通、リピートして当たり前であり、リピートしないことがおかしいのです。
そこで、そのような取引先に、何もない時でも定期的に接触していくことが、売上を向上させていくために行う、営業マンの「行動」の一つとなります。それが・・・「待ちの営業」、つまり取引先の方から仕事を頼まれることに慣れてしまった企業においては、そのような「行動」をとれるようにしていくことも、困難なのです。
では、なんのための営業マンなのか?
取引先の方から仕事を頼まれた時、その打合せをするだけの営業マンとなってしまっています。自ら「売上を作っていく行動」をとらないで、はたしてそれが、営業マンの仕事と言えるでしょうか?自ら「売上を作っていく行動」は、売上が向上していっている企業においては、当たり前に行われていることです。
それが当たり前にできていないから、売上が低迷してしまっているのです。売上が低迷してしまっている原因は、このようにいたってシンプルです。
もし仮に、あなたの会社が売上が低迷してしまっているのなら、自分自身の会社を振り返ってみてください。思いあたるのではないでしょうか。売上が低迷している会社において、上記のような「行動」を当たり前にできていくようになるためには、そのような抵抗をなくし、当たり前にできていくようにすることが必要です。
ではどうやって、そのような抵抗をなくし、営業マンが「売上を作っていく行動」をとれるようにしていくか。
営業マンが売上を上げることが主体の会社において、営業体制は、次のようになっていることでしょう。
社長
↓
営業部長
↓
営業マン
例えばわれわれが、コンサルティング先企業に、売上が上がる仕組み構築を行うために、営業マンに「行動」をとれるようにしていく場合、まず社長や営業部長から抵抗を受けることが多いです。(社長からコンサルティングを依頼されているのに、ですよ。)
「いや、今までうちは電話でアポイントをとったこともないから、そんなこと、できませんよ。」
「うちは営業日誌を書いたことがない会社なので、商談記録を書いていくのは、やれと言ってもうちの社員はやらないと思いますよ。」
このような言い訳を言って、社長や営業部長から大きな抵抗を受けるのです。
ただ「行動」ができるようにしていくことは、その企業が、売上が向上していけるようになるためには大変重要なことであります。そのため、まずは社長や営業部長の「考え方」や「行動」から、変えていく必要があります。
社長や営業部長が変わらないで、部下である営業マンたちが変わるわけ、ないですよね。
そして社長や営業部長が変わったら、次に、部下である営業マンたちも「行動」が当たり前にできるように変えていかなければなりませんが、これは、営業マン「管理」がポイントとなります。社長や営業部長は、営業マンの仕事を「管理」しなければなりません。
これは、管理職として当然行わなければならない仕事です。電話アポイントをやったことがない営業マンでも、電話アポイントをする日と決めた日に、20件、電話をかけさせる。どの見込客や取引先に電話をかけ、その結果どうだった、ということを、記録させて報告させることが必要です。
そして、その日は電話アポイントを20件行うことを決めたのなら、必ずそれを成し遂げさせる。ここで重要なのは、営業マンに「成果」を求めるのではなく、「行動」を求めることです。
例えば電話アポイントなら、「アポイントをとれた件数」が「成果」であり、「アポイントをとれてもとれなくても、先方の担当者と話をすることができた」ことが「行動」となります。アポイントをとれたという件数よりも、アポイントをとれてもとれなくても、20件からなんらかの返事をもらえたという、その返事の件数を、求めるべきです。
そうすれば、営業マンもプレッシャーが少なくなり、電話アポイントという行動をとりやすくなることでしょう。そして、電話アポイントを20件行うと決めたのなら、必ずそれを成し遂げさせる。営業マンの言い訳はいっさい聞かなくてよいです。それでもできない営業マンは、社長や営業部長が見ている前で、電話アポイントをさせるしかありません。
それでもちゅうちょするのなら、社長や営業部長が、見本を見せることも行います。(コンサルティング先企業において、われわれコンサルタントが見本を見せることもあります。)その見本は、下手でもかまいません。その見本でアポイントをとれなくてもかまいません。営業マンの、電話アポイントに対する「恐怖心」を少なくするために、見本を見せるのです。
またこれは、電話アポイントという一つの「行動」においての営業マンの抵抗をなくし、その「行動」を当たり前にできるようにしていく例ですが、その他にも、商談記録を書いていくことや、決まったツールを使って新規見込客にあなたの会社をアピールすることなど、売上が上がる仕組みを構築していくために、営業マンが当たり前に行わなければならない「行動」はいろいろあり、その「行動」を当たり前に行えるようにしていく必要があります。
例えば、営業部長が商談記録を書かないで、部下である営業マンがそれを書こうとするでしょうか。まずは、社長や営業部長など、上の人が「行動」できるようにいしていくことが必要です。
以上をまとめると、営業マンの抵抗をなくし、売上が上がる仕組み構築のための「営業マンの行動」が当たり前にできるようにしていくためには、次の3つのポイントがあります。
- 社長や営業部長などが、まず「抵抗」をやめる。
- 社長や営業部長が、営業マンの行動を「管理」する。
- 社長や営業部長が、見本を見せる。
こう見ていくと、社長や営業部長が、考え方や行動を変えていくことが重要だということが分かります。
また、次のことも頭に入れておいてください。
売上を上げていくことができる営業マンになるためには、「能力」よりも「習慣」が重要である、ということを。その「習慣」をつけることを、営業マン個人にまかせるのではなく、会社全体として「習慣」づけをしていく。それは、営業マン個人まかせの営業ではなく、組織としての営業ができていくようにすることにもつながります。
このようにしてことによって、その企業は売上低迷から脱し、売上が向上していくようになります。