ネットで売ってもよい商品・売るべきでない商品
この商品はインターネットで売るべきものか
あなたの会社が売りたい商品があり、それをどこで売るか、これを間違えてしまうと、いつまでたっても売りたいものがなかなか売れないことになってしまいますし、ひどい場合には膨大な広告費や無駄なホームページ制作費などをつぎこんでしまうことになります。
私が相談を受けていて、特によく目につくケースが、インターネットで売るべきではないものを、インターネットで売ろうとしているケースです。
インターネットで売るべきではない商品は、次のとおりです。
- 単価が低い商品(粗利が1品で5,000円もとれないものが目安)
- リピートしない商品
ただ、楽天やYahoo!ショッピングなど、そのショッピングモール自体で集客力があるところで商品を売る場合は別です。
これらのショッピングモールに出店すると、月数万円の費用や売上高の数%のマージンをとられてしまいますが、これらショッピングモールで売上を上げる勝ちパターンを研究し、工夫していければ、月次の売上が徐々に上がっていっていずれ採算がとれるようになることが期待できます。
問題なのは、楽天などのショッピングモールに出店するのではない、独自のショッピングサイトを制作して、そこで商品を売ろうとする場合です。多くの経営者が勘違いされるのは、ショッピングサイトを作れば、そこから自然と売上は上がるだろうということです。
しかし実際は、そのショッピングサイトに見込客を集めなければ、売上なんて上がるわけありません。
リアルの店舗でも、来店客がいないのに売上なんて上がるわけないですよね。それと同じです。ということは、まずそのショッピングサイトに見込客を集めなければ、スタートできないのです。
インターネットで商品を売る考え方
もしあなたの会社がショッピングサイトを作っていて、さっぱり売上が上がらない場合、私はまず、そのサイトの月間アクセス数を聞きます。しかし、多くの経営者からはその数字が出てこないのです。
リアルの店舗でも、1日、1ヶ月に何名の来客があるか、集計していますよね。(集計していなかったら問題ですよ。)それと同じで、まずそのショッピングサイトに月間どれだけのアクセスがあるのか、それを知らなければならないのです。
次に、月間の購入者数と、売上高を私は聞きます。そうすれば、売上高÷購入者数で、客単価が出てきます。
まずは1ヶ月の、これらの数値を把握するのです。
月間アクセス数 500件
月間購入者数 5件
月間売上高 20,000円
これであれば、購入率は購入者数÷アクセス数=1%となり、客単価は売上高÷購入者数=4,000円、となります。
アクセス数×購入率×客単価 =売上高
500 × 1% ×4,000円 =20,000円
この数値が分かれば、あとは
・アクセス数を増やす
・購入率を高める
・客単価を高める
にはどうするか、その対策を考え、実行していければよいわけです。
ショッピングサイトのアクセス数を高めるにはどうするか
ちなみにアクセス数を高めるの一番の策とは、リスティング広告の出稿、です。Yahoo!やgoogleで、検索すると一番上に出てくる広告のことです。1クリック数十円〜数百円のクリック課金型の広告です。
例えば、リスティング広告で1ヶ月1,000アクセスを増やすことにします。
1クリック(1アクセス)50円の広告費とします。
そうすると、それで増える売上高の予想は
アクセス数×購入率×客単価 =売上高
1,000 × 1% ×4,000円 =40,000円
粗利率が50%として、粗利益は売上高×粗利率=20,000円となります。一方、広告費は1,000アクセス、1クリック50円ですから50,000円となります。そうすると、50,000円の広告費で20,000円の利益ですから、赤字となってしまいます。
購入率を高め、客単価を高め、1クリックあたりの広告費を下げることによって、採算がとれるように対策を行っていきます。
ちなみに、アクセス数を増やす方法として、SEO対策という手法もありますが、その対策はショッピングサイト運営側でコントロールしにくい、という弱点があり、補足的に行うのはかまいませんが、それを第一の対策として考えない方がよいです。
このようにして、ショッピングサイトの売上を上げ、利益を上げるようにしていきます。
ショッピングサイトの限界
しかし、限界もあります。
単価が低い商品を売る場合、このような対策で採算がとれるようにしていくのは無理があります。
単価が低くても、その商品自体がリピート購入される商品(例えば米や水など)であれば、そのショッピングサイトで1回購入されることによりその顧客データが取れるので、その顧客に対しリピートするようにアプローチをかけてリピート客化することにより、1回購入だけでは採算がとれなくても顧客の生涯価値(その顧客がそのお店でどれだけ購入していただけるか)が高まりますので、採算がとれるようになります。
しかしリピートしない商品ではそのようなこともありません。
そのため、
1.単価が低い商品(粗利が1品で5,000円もとれないものが目安)
2.リピートしない商品
は、そもそもインターネットで売るべきではないのです。また、次のような考えもあるでしょう。
ショッピングサイトで品ぞろえを豊富にしておけば、1品の単価は低くてもいろいろな商品をまとめて購入してくれるのではないか。しかし、インターネットでの買い物の特性として、実店舗でのスーパーマーケットのような、いろいろな商品のまとめ買い、となりにくい、ということがあります。
インターネットでの買い物は、「○○という商品がほしい」という指名買いです。
インターネットでの買い物客は、目的の商品は買っていくが、他の商品はなかなか買っていきません。
そういうことで、品ぞろえを豊富にしても、そのショッピングサイトで売っている商品を多く買っていくことにはなりにくいです。(ただ同種類の商品で品ぞろえを豊富にしておけば、選択肢が広がるので購入率を高めやすいということはあります。)
まとめますと、楽天などのショッピングモールを使わない独自のショッピングサイトでは、アクセスを集めるのはリスティング広告が一番有効になります。
しかし、
1.単価が低い商品(粗利が1品で5,000円もとれないものが目安)
2.リピートしない商品
は、リスティング広告を出して採算を採ることが困難です。
よほどそのショッピングサイト自体が知名度があり、そのショッピングサイトを指名してアクセスしてくれる見込み客がたくさんいるのなら別ですが、知名度を高めること自体がなかなか困難でしょう。このような商品は、ショッピングサイトで売るべきではありません。
ショッピングサイト以外でどこで売るのか
ショッピングサイトで売るなと言うなら、いったいどこで売ったら良いのか
ということを思う方がいらっしゃるでしょうが、そもそもショッピングサイトで商品を売ろうとしている方の大部分は、軸となる販売方法がすでにあるはずです。
例えば、商品企画会社や販促品卸会社など、販路の拡充のため、ショッピングサイトを作って消費者に直接売ろうとするケースがありますが、同じサイトを作るなら、ショッピングサイトではなく、その商品を仕入れしたい卸会社や小売り会社から問合せや見積り依頼を受けるようなサイトの作り方にするべきです。
それであれば、販売ロットも大きくなり、また相手は企業なのでリピートも期待できます。
BtoBで売ってきた企業が、BtoCに進出しようとすると、今回述べたように「ショッピングサイトを作れば消費者にも売れるだろう」という思い込みから間違った方向に進んでしまいがちです。
軸はBtoBのままで、いかに問合せを増やすようにするか、という方向をまずは考えるべきなのです。
またもう一つ、例えば実店舗を持つ小売業。
ショッピングサイトを作るというよりも、どうせホームページを作るなら来店誘致を第一目的としたホームページを作るべきです。その地域に、このお店がある、これを知ってもらうことを、ホームページの目的とする、ということです。
このように、ホームページを作るなら、何を目的としたホームページにするか、その方向がずれてしまうと、費用ばっかりかかって売上に結び付かないホームページになってしまいます。自社は何を目的としてホームページを作るか、その方向はしっかり検討してください。