コラム

  1. ホーム
  2. > コラム
  3. > 銀行とのつきあい方
  4. > 銀行での運転資金の種類と借入の目安や時期などについて

銀行での運転資金の種類と借入の目安や時期などについて

銀行に融資を申し込む時には、「資金目的」が必要となります。大きく分けると設備資金運転資金です。今回は、運転資金について述べます。

 

銀行からみた運転資金の分類を参考にしていただいて、資金繰りの悩みから少しでも解放されて、今後の銀行との関係を良化するようにしましょう。銀行が融資するときの運転資金は1種類ではありません、お金に色はありませんが、銀行が融資するお金には青・黄・赤の3色あります。

 

・貸したい(青色)融資

・積極的に貸すことはないが貸してもよい(黄色)融資

・貸したくない(赤色)融資

 

に分類されます。では、ここで質問ですが、銀行での運転資金の「資金目的」には、どんなものがあるのでしょうか?

 

資金繰り・資金調達など財務でお困りの方は「無料相談」をご利用下さい。

 

無料相談受付

運転資金の資金目的一覧

銀行での運転資金の資金目的は、大きく下記の6つに分類されます。


 1番:経常運転資金 (売上を現状維持する場合に恒常的に必要な仕入・経費等の支払資金)

 2番:増加運転資金 (売上が増加する場合や決済条件に変化が生じた場合に必要となる資金)

 3番:賞与資金   (夏期・冬期のボーナス資金)

 4番:決算資金   (決算時に必要な納税、株式配当、役員賞与、等)

 5番:季節資金   (季節によって商品仕入等が増加するときに必要となる資金)

 6番:その他運転資金(手形決済資金、買掛金決済資金、赤字による経費支払資金、等)

 1番・2番は    (青色)貸したい融資
 3番・4番・5番は (黄色)積極的に貸すことはないが貸してもよい融資
 6番は       (赤色)貸したくない融資

信号の色と同じく3色に色分けすると、借りれる・借りれないがイメージしやすくなりますね。そして、ここからが重要なのですが、銀行からみると、貸したい融資にも上限金額があります。その上限を判定する基準が、『正常な運転資金』という呼び名の運転資金です。

 

聴きなれない言葉だと思いますが、銀行内部では『正常な運転資金』と「正常でない運転資金」にほとんどが色分けされています。「正常でない運転資金」だと判定されたら借入はできません。借入を実現するためには、『正常な運転資金』として判定されなければならないのです。

 

※その計算式は

 

売上債権(売掛金+受取手形(割引・裏書譲渡手形は除く)) + 在庫(不良在庫を除く) - 仕入債務(買掛金+支払手形(設備支払手形を除く))

 

以上の金額が、1番:経常運転資金であり、すべての金融機関を合計して借入が可能となる計算上の上限金額となります。また2番:増加運転資金は、売上債権の増加額+在庫の増加額-仕入債務の増加額が、計算上の上限金額となります。

 

1番・2番の場合は、企業が存続する限り必要な資金となりますから、できるだけ自己資本でまかなうのが理想ですが、ほとんどの企業の場合は借入金でまかなっていることでしょう。ですから、長期借入資金というよりも、むしろ永久に必要な資金ということになり、借りっぱなしになってもおかしくありません。

 

ならば、借入をするときに、元金返済をゼロにできたほうが資金繰りの不安・心配は、大幅に減少することになります。当座貸越・手形貸付(極度)での借入を実現するようにしましょう。いずれの借入方法でも、毎月の金利支払いと一部印紙代でOKです。

 

3番~5番については、『正常な運転資金』としての基準は適用されませんが、目的・金額・返済方法が決まっていますので、資金の目的の証拠があれば、1番・2番の運転資金がいっぱいの場合でも、融資は可能となる場合があります。

 

ただし、3番~5番の資金については原則6ヶ月以内に返済するルール(場合によっては9ヶ月~12ヶ月)がありますので、手形貸付(都度)扱いが一般的です。ちなみに6番については、ほぼ借入ができないと考えてください、借入可能となるのは、保証協会付の別枠融資や緊急保証の場合です。

運転資金の借入時期等について

資金繰り予想表を作成し、資金の必要な月の3ヶ月前に申込む

銀行には、融資したい時期と融資をしたくない時期があります。1ヵ月前に申込んでも銀行の貸したくない時期に当たると、計画通りに借入できないケースが多数発生します。また、余裕をもって申し込んでおくことによって、次年度から銀行から営業に来る確率が高くなります。ですから、資金繰り予想を立てるということは、事業継続には必要不可欠なのです。

1行ではなく、数行同時に申込みを行う

1つの銀行で申し込んで、断られてから次の銀行に申し込むと、余分な時間がかかります。タイム・イズ・マネーですから、数行同時に申し込んでください。万が一全部の銀行から借りてくれという回答が来たら、ありがたい悩みとして、楽しみながら借入する銀行を選択してください。

3番~5番について

3番~5番については、支払う時期がほぼ確定していますから、必ず、決算期の3か月前、賞与支給月の3ヶ月前に申込みを行いましょう。

既にリスケジュールをしているので新たに借入できない場合

中途半端なリスケジュール、つまり元金返済が一部しか減額されていなかったりしていませんか?『正常な運転資金』であれば、事業継続には不可欠な資金です。不可欠ならばこそ、〔借りっぱなし〕が絶対に必要ですね。『正常な運転資金』の部分は元金ゼロにしてもらうようしっかり交渉しましょう。

 

リスケジュール期間は、手間がかかりますが3~6ヶ月と短目にしてみて、できるだけ銀行と交渉する時間を増やすようにしましょう。コミュニケーションの頻度が、あなたの会社を救う機会になります。また、資金繰り安定のための金利引下げも積極的に交渉しましょう。資金繰りが良化すること間違いなしです。

 

では、『正常な運転資金』でない運転資金の場合はどうでしょうか?

 

正常でない資金を借りてしまった、しかし返済するお金がない。そして、事業継続のためには、ゆっくりと返済しないと事業継続に大きな影響が出ます。ゆっくりとは概ね20年ないし25年で返済するイメージです・・・そんな長期間の返済では納得できないと銀行からは言われます。

 

ここは、最長3年間の元金据え置きを依頼してみましょう。

 

その間に、事業を立て直し、適正な利益を出し、返済開始を実現しましょう。3年間の時間があれば、「必ず事業を再生します」と、銀行で言えるくらいの決意を持ってください。

 

エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。新たな資金調達を得たいや、返済・資金繰りが厳しいなどのお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。

 

資金繰り・資金調達など財務でお困りの方は「無料相談」をご利用下さい。

 

無料相談受付

運転資金借入の適正額の目安

適切な借入額を知ることは、健全な事業運営の鍵となります。財務コンサルタントの立場から、借入額、期間、金利などの目安をそれぞれわかりやすく解説していきます。

売上高に対する借入額の目安

運転資金の借入額を考える上で、最も基本的な指標は売上高です。一般的に、運転資金借入の適正額は年間売上高の1〜3ヶ月分と言われています。例えば、年間売上高が1億円の企業であれば、800万円から2400万円程度が運転資金借入の目安となります。ただし、これはあくまで目安であり、企業の状況によって変動します。

 

借入額が売上高の3ヶ月分を超える場合は要注意です。資金繰りが厳しくなる可能性が高くなりますので、借入以外の方法も含めて資金計画を見直す必要があるでしょう。

業種別の運転資金借入額の目安

業種によって、必要な運転資金の額は大きく異なります。以下に主な業種別の目安を示します。

 

製造業   年間売上高の2〜3ヶ月分
小売業   年間売上高の1〜1.5ヶ月分
卸売業   年間売上高の1.5〜2ヶ月分
サービス業 年間売上高の1〜2ヶ月分
建設業   年間売上高の2〜4ヶ月分

 

製造業や建設業では、原材料の仕入れや工事の着工から売上計上までの期間が長いため、より多くの運転資金が必要となります。一方、小売業やサービス業は比較的短期間で資金が回転するため、借入額は少なくて済む傾向にあります。

季節変動を考慮した借入額の調整

多くの中小企業では、売上に季節変動があります。この変動を考慮して借入額を調整することで、より効率的な資金管理が可能になります。

 

繁忙期に向けて増加する運転資金需要を予測し、計画的に借入を行うことが重要です。例えば、夏季に売上が集中する業種であれば、春頃から段階的に借入額を増やしていくといった方法が考えられます。

 

逆に、閑散期には借入額を抑え、返済に充てることで金利負担を軽減できます。年間を通じての平均的な借入額が、先述の売上高に対する目安の範囲内に収まるよう調整することがポイントです。

 

これらの目安を参考に、自社の状況に合わせて適切な借入額を設定してください。ただし、借入は返済の必要がある負債です。必要以上の借入は避け、返済計画もしっかりと立てることが大切です。不安な点があれば、財務の専門家に相談することをおすすめします。

 

資金繰り・資金調達など財務でお困りの方は「無料相談」をご利用下さい。

 

無料相談受付

借入期間の目安

運転資金の借入を検討する際、借入期間の選択に迷うことはありませんか?適切な借入期間を選ぶことは、安定した資金繰りを維持する上で非常に重要です。財務コンサルタントの視点から、借入期間の目安について詳しく解説していきましょう。

短期借入(1年以内)の適用ケース

短期借入は、一時的な資金需要や季節的な変動に対応するのに適しています。具体的には以下のようなケースが考えられます。

 

繁忙期に向けた在庫の積み増し
大口顧客からの入金までのつなぎ資金
賞与支給のための一時的な資金需要
短期的なプロジェクトの資金調達

 

短期借入は、迅速に調達できる反面、金利が比較的高めになる傾向があります。しかし、必要な期間だけ借り入れることで、全体的な金利負担を抑えることができます。返済の見通しが立つ場合にのみ利用するようにしましょう。

中期借入(1〜5年)の適用ケース

中期借入は、短期的な需要を超えるものの、長期的な投資ほどではない資金需要に適しています。以下のようなケースが当てはまります。

 

新規事業立ち上げの初期運転資金
複数年にわたる大型プロジェクトの資金
既存事業の拡大に伴う運転資金の増加
短期借入の借り換えによる返済負担の平準化

 

中期借入は、事業の成長期に適した選択肢です。返済期間が長くなることで月々の返済負担が軽減され、その分を事業投資に回すことができます。ただし、借入期間中の金利変動リスクに注意が必要です。

長期借入(5年以上)の適用ケース

長期借入は、大規模な設備投資や長期的な事業戦略に基づく資金調達に適しています。主に以下のようなケースで検討されます。

 

工場や店舗の新設・拡張
大型機械設備の導入
他社のM&A(買収・合併)
長期的な研究開発プロジェクト

 

長期借入は、月々の返済負担が最も軽くなりますが、総支払利息は最大になります。そのため、借入を行う目的が確実に長期的な収益向上につながるかを十分に検討する必要があります。

 

借入期間の選択は、資金の使途と返済能力のバランスを考慮して決定することが重要です。短すぎる期間設定は資金繰りを圧迫し、長すぎる期間設定は不要な利息負担を招く可能性があります。

 

また、借入期間中の事業計画や収支予測を慎重に行い、無理のない返済計画を立てることが肝要です。不安な点がある場合は、財務コンサルタントや銀行の担当者に相談し、自社に最適な借入期間を選択しましょう。適切な借入期間の設定は、健全な財務管理の第一歩となります。

返済能力の目安

運転資金の借入を検討する際、最も重要なのは返済能力の把握です。適切な返済計画を立てることで、健全な財務状態を維持しながら事業を成長させることができます。財務コンサルタントの視点から、返済能力の目安について詳しく解説していきましょう。

月々の返済額の適正範囲

月々の返済額は、月間の営業キャッシュフローの15〜20%以内に抑えることが望ましいとされています。これは、返済負担が重すぎると日々の事業運営に支障をきたす可能性があるためです。

 

例えば、月間の営業キャッシュフローが500万円の企業であれば、月々の返済額は75万円から100万円程度が適正範囲となります。ただし、これはあくまで目安であり、業種や事業の成長段階によって変動することがあります。

 

返済額が営業キャッシュフローの25%を超える場合は要注意です。このような状況では、他の経費削減や売上増加策を検討する必要があるでしょう。

借入金返済比率(DTI)の目安

借入金返済比率(DTI, Debt-To-Income ratio)は、年間の返済総額を年間の税引前利益で割った比率です。この指標は、企業の長期的な返済能力を示します。

 

一般的に、借入金返済比率は70%以下に抑えることが望ましいとされています。つまり、税引前利益の70%までを借入金の返済に充てることができるという考え方です。

 

例えば、年間の税引前利益が1,000万円の企業であれば、年間の返済総額は700万円以下が目安となります。この比率が80%を超える場合は、借入金の負担が大きすぎる可能性があり、事業の持続可能性に疑問が生じる可能性があります。

運転資金回転期間から見る返済能力の判断

運転資金回転期間は、在庫の仕入れから売上の回収までにかかる期間を示す指標です。この期間が短いほど、資金効率が良く、返済能力も高いと判断できます。

 

一般的に、運転資金回転期間は短いほど良いとされますが、業種によって大きく異なります。製造業では3〜6ヶ月、小売業では1〜2ヶ月程度が平均的な目安となります。

 

運転資金回転期間を短縮することで、借入の必要性を減らし、返済能力を向上させることができます。具体的な改善策としては以下が挙げられます。

 

在庫管理の効率化
仕入れ条件の見直し
売掛金回収の迅速化
支払サイトの延長交渉

 

運転資金回転期間を把握し、継続的に改善することで、借入依存度を下げ、財務体質を強化することができます。

 

これらの指標を総合的に判断し、自社の返済能力を適切に評価することが重要です。ただし、これらはあくまで目安であり、業種や事業の特性によって最適な水準は異なります。不安な点がある場合は、財務コンサルタントに相談し、自社の状況に合わせた返済計画を立てることをおすすめします。適切な返済能力の把握と管理は、持続可能な事業運営の基盤となります。

 

資金繰り・資金調達など財務でお困りの方は「無料相談」をご利用下さい。

 

無料相談受付

金利の目安

運転資金の借入を検討する際、金利は非常に重要な要素です。適切な金利で借入を行うことで、長期的な財務負担を軽減し、事業の成長を支援することができます。財務コンサルタントの視点から、金利の目安について詳しく解説していきましょう。

信用力別の金利帯

企業の信用力は金利に大きな影響を与えます。一般的に、信用力が高いほど低い金利で借入することができます。中小企業の場合、以下のような金利帯が目安となります。

 

高信用力企業 年利1.0%〜2.5%
中信用力企業 年利2.5%〜4.0%
低信用力企業 年利4.0%〜6.0%以上

 

信用力の評価には、財務状況、事業の安定性、経営者の資質などが考慮されます。定期的に自社の信用力を把握し、改善に努めることで、より有利な条件での借入が可能になります。

担保の有無による金利の違い

担保の提供は、金融機関にとってリスクを軽減する要素となるため、金利に影響を与えます。一般的に、以下のような違いが見られます。

 

無担保借入 年利3.0%〜7.0%以上
不動産担保借入 年利1.5%〜4.0%
動産担保借入 年利2.0%〜5.0%

 

担保を提供することで、0.5%〜2.0%程度の金利低減効果が期待できます。ただし、担保提供には慎重な判断が必要です。事業に不可欠な資産を担保に入れることで、将来の事業展開に制限がかかる可能性があるためです。

固定金利と変動金利の選択基準

金利タイプの選択も重要です。固定金利と変動金利にはそれぞれ特徴があり、企業の状況に応じて適切な選択が必要です。

 

固定金利の特徴
借入期間中、金利が変動しない
長期的な資金計画が立てやすい
一般的に変動金利より高めに設定される

 

変動金利の特徴
市場金利に連動して変動する
当初の金利は固定金利より低めに設定される
将来の金利上昇リスクがある

 

固定金利は、長期的な設備投資や安定した資金計画が必要な場合に適しています。一方、変動金利は短期の運転資金や、早期返済を予定している場合に検討の余地があります。

 

金利タイプの選択基準としては、借入期間、金利動向の予測、自社の財務状況の安定性などを総合的に判断することが重要です。例えば、今後の金利上昇が予想される場合や、長期の借入を検討している場合は、固定金利を選択することで将来のリスクを軽減できる可能性があります。

 

金利は借入コストに直結する重要な要素です。自社の信用力向上に努めるとともに、担保の活用や金利タイプの適切な選択を通じて、最適な借入条件を獲得することが大切です。また、金融機関との良好な関係構築も、有利な条件での借入につながります。定期的に金融機関と対話を重ね、自社の事業計画や財務状況を丁寧に説明することで、信頼関係を築いていきましょう。

 

金利に関して不明点がある場合は、財務コンサルタントや複数の銀行に相談し、自社にとって最適な借入条件を見極めることをおすすめします。適切な金利での借入は、持続可能な事業成長の基盤となります。

担保・保証人の目安

運転資金の借入を検討する際、担保や保証人の提供について悩まれることが多いのではないでしょうか。これらの条件は借入の可否や条件に大きく影響します。財務コンサルタントの視点から、担保・保証人に関する目安について詳しく解説していきましょう。

無担保借入の限度額の目安

無担保借入の限度額は、一般的に企業の年間売上高の10%程度、または月商の1〜2ヶ月分が目安となります。ただし、この金額は企業の信用力や業績によって大きく変動します。

 

例えば、年間売上高が1億円の企業であれば、無担保借入の限度額は約1,000万円程度となります。ただし、高い信用力を持つ企業や、安定した業績を示せる企業では、この限度額が上昇する可能性があります。

 

無担保借入の限度額を増やすためには、以下の点に注力することが効果的です。

 

財務内容の改善(特に自己資本比率の向上)
安定した収益力の証明
取引金融機関との良好な関係構築
経営の透明性向上(適切な情報開示)

担保評価額と借入可能額の関係

一般的に、担保評価額の50〜70%程度が借入可能額の目安となります。これは担保物件の売却時の価値下落リスクを考慮したものです。担保の種類によって、この割合(掛目)は変動します。

 

不動産担保 評価額の50〜70%
有価証券担保 評価額の60〜80%
売掛金担保 評価額の70〜80%
在庫担保 評価額の30〜50%

 

担保物件の評価額は、市場動向や経済状況によって変動する可能性があります。特に不動産担保の場合、定期的な再評価が行われることがあるため、借入可能額が変動する可能性があることに注意が必要です。

経営者保証に関する最新のガイドライン

2020年4月に改訂された「経営者保証に関するガイドライン」により、経営者保証の見直しが進んでいます。このガイドラインの主なポイントは以下の通りです。

 

経営者保証を不要とする借入の促進
経営者保証の二重徴求の原則禁止
保証債務の履行時における保証人の資産の範囲の明確化
保証債務の整理の促進

 

このガイドラインに基づき、以下の条件を満たす企業は、経営者保証なしでの借入を検討できる可能性が高まっています。

 

法人と経営者の資産・経理が明確に分離されている
財務基盤が強固で十分な収益力がある
財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性が確保されている

 

経営者保証に依存しない融資を受けるためには、上記の条件を満たすよう経営改善に取り組むことが重要です。特に、自己資本比率の向上や、適切な情報開示体制の構築に注力することをお勧めします。

 

担保や保証人の提供は、借入の可能性を高め、より有利な条件での資金調達を可能にする一方で、事業や個人の将来に大きな影響を与える可能性があります。そのため、慎重な検討が必要です。

 

自社の財務状況や事業計画を客観的に分析し、本当に担保や保証人が必要な借入なのか、また、それらを提供するリスクを十分に理解した上で判断することが重要です。不安な点がある場合は、財務コンサルタントや複数の銀行に相談し、最適な借入方法を選択することをお勧めします。

 

資金繰り・資金調達など財務でお困りの方は「無料相談」をご利用下さい。

 

無料相談受付

運転資金借入の審査通過の目安

運転資金の借入審査は時として難関に感じられるかもしれません。しかし、審査のポイントを理解し、適切な準備を行えば、通過の可能性を高めることができます。財務コンサルタントの視点から、審査通過の目安について詳しく解説していきましょう。

財務諸表で重視される項目

金融機関は主に「収益性」「安全性」「成長性」の3つの観点から財務諸表を評価します。具体的には以下の項目が重視されます。

 

収益性 売上高営業利益率 5%以上
安全性 自己資本比率 20%以上
成長性 売上高成長率 前年比プラス

 

特に重要なのは、キャッシュフロー計算書です。運転資金の返済原資となる営業キャッシュフローがプラスであることが、審査通過の大きなポイントとなります。

 

また、以下の財務指標も注目されます。

 

流動比率 150%以上
固定長期適合率 100%以下
損益分岐点比率 80%以下

 

これらの指標が目安を下回る場合でも、改善傾向にあれば評価されます。財務諸表の数値改善に向けて、コスト削減や資産効率の向上など、具体的な取り組みを行いましょう。

事業計画に求められる具体性の水準

事業計画は、借入金の返済可能性を示す重要な資料です。金融機関が求める具体性の水準は、以下の3点に集約されます。

 

1. 数値の根拠が明確であること
2. 実現可能性が高いこと
3. リスクとその対応策が明示されていること

 

例えば、売上計画を立てる際は、「顧客別」「商品別」「地域別」など、できるだけ細分化した予測を立てましょう。コスト計画についても、「人件費」「原材料費」「販管費」などの項目ごとに、削減や効率化の具体策を示すことが重要です。

 

また、計画の実現可能性を高めるために、過去の実績との整合性を取ることも大切です。急激な成長を見込む場合は、その根拠(新規取引先の獲得、新商品の投入など)を明確に示す必要があります。

経営者の資質評価の基準

金融機関は、財務諸表や事業計画だけでなく、経営者の資質も重要な審査項目としています。主な評価基準は以下の通りです。

 

経営能力 業界経験、過去の実績
誠実性 情報開示の姿勢、約束の履行状況
先見性 業界動向の把握、将来ビジョンの明確さ
リーダーシップ 従業員の定着率、モチベーション管理

 

特に重視されるのは、「誠実性」です。金融機関との面談時には、自社の強みだけでなく、弱みやリスクについても率直に説明することが評価につながります。また、過去の失敗や困難をどのように乗り越えてきたかを具体的に説明することで、経営者としての資質をアピールできます。

 

さらに、後継者の育成状況も評価の対象となります。事業の継続性を示すため、後継者候補がいる場合は、その育成計画も併せて説明するとよいでしょう。

 

運転資金借入の審査通過には、財務面での健全性、具体的で実現可能性の高い事業計画、そして信頼できる経営者の存在が不可欠です。これらの要素を総合的に強化することで、審査通過の可能性を高めることができます。

 

ただし、すべての項目で完璧を目指す必要はありません。自社の強みを明確に示し、弱みについては改善の方向性を示すことが重要です。審査に不安がある場合は、事前に財務アドバイザーに相談し、申し込み前に改善点を洗い出すことをお勧めします。周到な準備により、運転資金借入の審査通過の可能性を高め、事業成長の機会を掴みましょう。

最新の運転資金借入トレンド

運転資金の調達方法は日々進化しています。最新のトレンドを把握することで、より効果的な資金調達が可能になります。財務コンサルタントの視点から、最新の運転資金借入トレンドについて詳しく解説していきましょう。

フィンテックの活用と従来型借入の使い分け

フィンテック(金融技術)の進歩により、運転資金の調達方法が多様化しています。主なフィンテックサービスには以下のようなものがあります。

 

クラウドファンディング
オンラインレンディング
ファクタリング(売掛金早期現金化)
POS連動型融資

 

フィンテックサービスの特徴は、スピーディーな審査と柔軟な返済条件にあります。一方で、従来型の銀行借入は、大口の資金調達や長期の借入に適しています。

 

使い分けの目安としては、以下のようになります。

 

フィンテック 小口・短期の資金需要、急な資金需要
従来型借入 大口・長期の資金需要、安定的な事業資金

 

両者を適切に組み合わせることで、効率的な資金調達が可能になります。ただし、フィンテックサービスの中には高金利のものもあるため、総借入コストに注意が必要です。

SDGs・ESG関連の優遇借入制度

SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを評価する優遇借入制度が増えています。これらの制度を活用することで、有利な条件での借入が可能になる場合があります。

 

主な優遇内容には以下のようなものがあります。

 

金利の引き下げ
融資枠の拡大
返済期間の延長
担保・保証人条件の緩和

 

優遇を受けるためには、具体的なSDGs・ESG関連の取り組みを示す必要があります。例えば、環境負荷低減の設備投資、ダイバーシティの推進、地域社会への貢献などが評価対象となります。

 

これらの取り組みは、単に借入条件の改善だけでなく、企業価値の向上や新規顧客の獲得にもつながる可能性があります。中長期的な経営戦略の中にSDGs・ESGの視点を組み込むことをお勧めします。

コロナ禍以降の運転資金借入の新基準

新型コロナウイルス感染症の影響により、運転資金借入の審査基準にも変化が見られます。特に注目されているのが、「事業の継続性」と「環境変化への適応力」です。

 

具体的には、以下のような点が重視されるようになっています。

 

リモートワーク体制の整備状況
デジタル化・オンライン化への対応
サプライチェーンの強靭化
新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築

 

また、財務面では「手元流動性の確保」がより重要視されるようになっています。具体的には、現金及び現金同等物の保有額が月商の2〜3ヶ月分あることが望ましいとされています。

 

さらに、借入審査において、以下のような新しい評価指標も導入されつつあります。

 

事業継続計画(BCP)の策定状況
従業員の健康管理体制
非対面ビジネスの売上比率
固定費削減の取り組み

 

これらの新基準に対応するためには、単に財務改善を図るだけでなく、事業モデル自体の見直しやデジタル化投資が必要となる場合もあります。中長期的な視点で、自社の事業構造の強靭化を図ることが重要です。

 

最新の運転資金借入トレンドを理解し、積極的に活用することで、より効果的な資金調達が可能になります。同時に、これらのトレンドは、今後の経営のあり方を示唆しているとも言えます。自社の強みを活かしつつ、時代の変化に適応した経営戦略を構築することが、持続可能な成長につながるでしょう。

 

新しい借入手法や制度の活用に不安がある場合は、財務コンサルタントや専門家に相談することをお勧めします。適切な情報と助言を得ることで、自社に最適な資金調達方法を選択し、事業の発展につなげることができるはずです。

まとめ:運転資金借入の黄金律

これまでの内容を踏まえ、運転資金借入の黄金律をまとめていきましょう。適切な借入は事業成長の強力な味方となりますが、同時にリスクも伴います。財務コンサルタントの視点から、運転資金借入を成功させるための重要ポイントを解説します。

借入前に必ず確認すべき5つのポイント

運転資金の借入を検討する際は、以下の5つのポイントを必ず確認しましょう。

 

1. 借入の必要性と金額の妥当性
2. 返済能力の精緻な試算
3. 担保・保証人の提供可能範囲
4. 借入期間と金利タイプの適切性
5. 事業計画との整合性

 

特に重要なのは、借入の必要性と返済能力の見極めです。運転資金の借入は、一時的な資金不足を補うものであり、恒常的な赤字補填に用いるべきではありません。返済能力については、楽観的すぎる予測は避け、保守的な見通しに基づいて判断することが重要です。

 

これらのポイントを一人で判断するのは難しい場合もあります。そんな時は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。客観的な視点から自社の状況を分析することで、より適切な借入判断が可能になります。

健全な借入のための経営者の心得

健全な借入を行うためには、経営者自身の姿勢が極めて重要です。以下の点を心がけましょう。

 

1. 財務状況の正確な把握と情報開示
2. 金融機関との信頼関係構築
3. 借入金の使途管理の徹底
4. 経営改善への継続的な取り組み
5. リスク管理と危機対応力の向上

 

特に重要なのは、金融機関との信頼関係構築です。良好な時期だけでなく、業績が悪化した際にも率直なコミュニケーションを心がけましょう。また、借入金の使途管理を徹底し、目的外使用を厳に慎むことが、健全な財務管理の基本となります。

 

これらの心得を実践するには、時として客観的な視点や専門的なアドバイスが必要になります。経営者一人で抱え込まず、適切なサポートを受けることも検討しましょう。

定期的な借入状況の見直しの重要性

運転資金借入は、一度実行したら終わりではありません。定期的な見直しが極めて重要です。以下のような観点から、少なくとも半年に一度は借入状況を見直しましょう。

 

1. 返済計画の進捗状況
2. 金利水準の変化と借換えの可能性
3. 事業環境の変化と借入必要額の再評価
4. 新たな資金調達手段の探索
5. 財務体質改善の進捗確認

 

特に注意すべきは、返済が滞りそうな兆候を早期に察知することです。資金繰りに不安が生じた場合は、すぐに金融機関や専門家に相談し、対策を講じることが重要です。また、事業が好調な際には、繰上返済や借換えによる金利負担の軽減も検討しましょう。

 

定期的な見直しを効果的に行うには、財務の専門知識が必要になることもあります。自社だけでは難しいと感じた場合は、外部の専門家のサポートを受けることも有効な選択肢です。

 

運転資金借入は、適切に管理すれば事業成長の強力な推進力となります。しかし、一歩間違えれば経営を圧迫する要因にもなりかねません。本記事でご紹介した黄金律を参考に、健全な借入管理を心がけていただければ幸いです。

 

経営者お一人で判断するのが難しい場合や、より詳細なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをお勧めします。新たな資金調達の検討や、返済・資金繰りの改善など、財務面でのお悩みがありましたら、ぜひ専門家のサポートを活用してください。

 

エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。新たな資金調達を得たいや、返済・資金繰りが厳しいなどの財務でお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。

新商品のご案内

実際にエクステンドで手がけた
再生事例を紹介!

 

・資金繰り改善・資金調達
・業務改善・粉飾決算
・M&Aなど

→ 詳細・ご購入はこちら
金融機関紹介実績No1
支援機関
contents
  • 事業再生
  • M&A
  • よくある質問
  • 実際の事例集
  • オンラインショップ
  • 会社概要

一人で悩む経営者へ
後悔しない決断を一緒に見つけましょう