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経営者は自分の会社を数字で語る

あなたは、自社の状況を数字で語ることができるでしょうか?

 

弊社にご相談に来られたお客様に、「御社の現状を教えて下さい。」と質問すると、

 

「売上が減少している。」

「資金繰りが回らない。」

 

と返答されることが多いのですが、その後、「具体的には?」とおうかがいすると、具体的な数字を答えられない経営者の方が多くいます。

 

経営者の意思決定の結果が現在の数字であり、そして現在の資金繰り状態ですので、経営者は自社の状況を数字で語れることが必要です。

まずは試算表の作成から

会社を再生するためには、自社の現状認識が必要不可欠です。現状認識なくして改善策を打っても、効果は思うように上がりません。

そこでまずは、自社の状況を把握するため、適正な試算表を作成する必要があります。ここで、適正な試算表とは、会社の実態が把握でき、経営の意思決定に資する情報を得ることのできる試算表を言います。

 

具体的には、

 

  1. 発生主義で作成されている。
  2. 前月分の試算表が翌月20日までに作成されている。
  3. 部門別会計が採用されている。

 

が満たされている試算表です。

発生主義で作成されている試算表

あなたの会社の試算表は、発生主義で作成されているでしょうか?

 

発生主義とは、得意先に対して請求書を発行した段階で売上を計上し、一方で相手先から請求書が届いた段階で費用を計上します。

 

これに対して現金主義とは、得意先から入金があった時点で売上を計上し、相手先へ支払をした時点で費用を計上します。

 

記帳の手間を考えますと現金主義が簡単です。

 

ところが、現金主義では当月に商品を引渡し、得意先に請求書を発行したにもかかわらず、売掛金の回収が遅れれば翌月の売上として認識されますし、逆に支払を延期すれば費用の計上が翌月になります。

 

これでは日々の営業活動の結果を、会社の月次損益を適切に反映することができません。

 

ここで、会社の活動を適切に把握するためには、

 

  1. 販売すること→それを回収すること
  2. 経費が発生すること→それを支払うこと

 

この矢印の左と右とを、別の行為として考えなければなりません。

 

そのためには、若干、記帳の手間は増えますが、発生主義で記帳を行う必要があります。記帳の手間はかかりますが、試算表は発生主義で作成するようにしてください。

前月分の試算表が翌月20日までに作成されている

あなたの会社の試算表はいつまでに作成されているでしょうか?

 

試算表の作成目的は、前月の行動の結果を数字とし把握した上で、今後の行動指針を決定する点にあります。

 

ここで、試算表のでき上がりが遅い場合、対応策を打つのがそれだけ遅れることになりますので、早急に改善が必要です。

そのため、当月の試算表が遅くとも翌月の20日までに作成できる体制を構築する必要があります。

試算表においても部門別会計の採用

試算表は、毎月の記帳の結果をまとめたものであり、それは主として税務申告の様式に従い処理されています。ところがこの試算表では、経営の意思決定を行っていくことに役立てる上では十分とは言えないのです。

 

例えば、あなたの会社には部門(支店)が3つあったとします。

 

これが、全社で一つの試算表しかなければ、どの部門(支店)が黒字でどの部門(支店)が赤字か判断することは困難です。

 

また、多くの会社ではこの試算表とは別のところで、各部門(支店)の損益把握のためのデータの作成作業がなされています。しかし、これでは業務の重複が生じ、人件費という間接費の増大をもたらす結果になります。

 

そこで、試算表を作成する段階から部門(支店)を設定し、これに基づいて仕訳を行うことで、これらの問題点を解決することができます。

 

さらに、建設業等の損益改善のためには、原価管理が不可欠ですが、これについても各工事を一部門と仮定して発生主義できちんと処理することによって、各工事ごとの損益計算書を作成することが出来ますので、損益改善にも役立ちます。

 

今一度、自社の試算表作成について見直し、不十分な点については改善されることを検討してみてはいかがでしょうか?

 

自社の状況を的確に把握することが事業再生の第一歩となります。

 

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