新事業に活路を見出そうとする前に
私が売上向上のご相談を受けていて、よくいただくご相談の一つに、「今の商品・サービスが売れないから、新事業に活路を見出していきたいが、売れそうな商品はないか。」というものがあります。
ただ、私はそう聞かれた場合、
「新商品を売ろうとする前に、やるべきことが山ほどあるでしょう。」と言います。
売上が低迷している企業の経営者が、よく考えがちなのは、このように新事業に活路を見出そうとすることです。ただ、新商品を売ろうとしても、このような会社の場合、まず売れないことでしょう。
なぜなら、このような会社は、既存の商品・サービスを売ることができていないからです。要は、「売り方を知らない」のです。だから、既存の商品・サービスが売れないからと、新商品・新事業に頼ってしまうのです。
そのような経営者は、新商品が「自分の会社を救ってくれる、魔法の商品」のように見えてしまいます。しかし、今までその会社が売ってきた既存の商品・サービスを売ることができないのに、新商品を売ることなんてできません。
そのような経営者は、売上低迷から脱し売上向上するために、目指すべき方向性が間違っているのです。
求めるべきことは、その会社を救ってくれる魔法の商品ではありません。まずは、既存の商品・サービスをしっかり売ることができる、その売上が上がる仕組みを構築すること、です。
例えば、私が今まで相談を受けてきた中で、よくあったのが、建設業の企業が飲食業を開くことです。
なぜ建設業が飲食業を?と疑問に思ってしまいますが、売上が低迷している建設業の経営者の多くの方は、飲食店を開くことが、その会社を救ってくれる魔法のように思えてしまうようです。
確かに、多くの人にとって飲食業とは、なじみ深い業種です。だから、飲食業は簡単に経営できる、というように勘違いしてしまうのでしょう。
建設業の経営者が、全く経験のないのに、飲食店を開いてしまうのです。
しかし、飲食業の経験がない人が飲食店を開いても、そんな甘いものではなく、初月から飲食店の売上は低迷し、大きな赤字を抱えてしまうのです。
他に、卸売業の企業が人材派遣業、システム開発業の企業が飲食業を開くなど、いろいろなパターンを私は見てきましたが、ことごとく失敗し、大きな借金を抱えこんでしまっているのです。
だから、目指す方向性が間違っているのです。
売上が低迷している企業は、新商品に活路を見出すべきではありません。まず、売れません。売上が上がる仕組みができていないから、既存の事業の売上が上がらないのです。
既存の事業の売上が上がる仕組みを構築することが、まず先です。あなたの会社の売上が上がらないのは、商品・サービスが悪いのではありません。売上が上がる仕組みがあなたの会社にないから、売上が上がらないのです。
そこを間違ってしまうと、いつまでも売上が低迷しているが方向性が間違ったままの状態になってしまいます。