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売上が月ごとに大きく増減する会社の経費削減のやり方

固定費と変動費の特性から経費削減を考える

企業の中には、売上が月ごとに、大きく増減する企業があります。売上が大きい月は単月で黒字が出ますが、売上が小さい月は単月で赤字が出ます。そのような企業が損益を改善させるポイントは、売上の増減による影響を極力少なくするにはどうするべきか、です。

 

事業活動にかかる費用には「固定費」と「変動費」とがあります。

固定費とは売上の増減にもかかわらず一定にかかる費用、変動費とは売上の増減に比例して変化する費用のことをいいます。

 

  • 固定費で代表的なものは、社員の給料です。
  • 変動費で代表的なものは、材料費・外注費・仕入原価です。

 

売上の増減が月ごとに大きい企業は、売上の増減の影響を少なくし、安定的な経営をできるようにしていく必要があります。

 

費用の中で固定費と変動費とを分けた場合、固定費の割合が高い企業は、売上が落ちるとき、利益も大きくマイナスとなります。なぜなら、売上の増減に比例して変化する変動費の割合が小さいため、売上が落ちると固定費の負担が一気にのしかかってくるからです。

 

一方、変動費の割合が高い企業は、売上が落ちるとき、利益の減少は、固定費の割合が高い企業ほど大きくはありません。なぜなら、売上の増減に比例して変化する変動費の割合が大きいため、売上が落ちると変動費としてかかる費用も落ちるからです。

 

そこから考えると、月ごとの売上の増減が激しい企業は、売上が落ちても利益への影響を少なくするため、費用の中で変動費の割合を高く、固定費の割合を低くすることが、セオリーとなります。

 

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製造業の例に固定費の変動費化

例えば、製造業。受注状況によって、売上が大きい月もあれば小さい月もある企業が大半でしょう。固定費の代表的なものは社員の給料、変動費の代表的なものは外注費です。私どもが相談を受ける製造業で、赤字企業の特徴を見ると、売上が大きい月に合わせた人員構成となっている、ということです。

 

売上が大きい月に、製造部門がスムーズにまわるように、人員を入れています。ただ、そのような状態では、売上が小さい月には、余剰人員がでてきてしまうことになります。製造部門の社員に、仕事がない人が出てきてしまうのです。

 

余剰人員、余剰時間が発生するということは、その分、会社の費用負担は大きく、そこで赤字を発生させてしまう、ということになります。これが、赤字の製造業の企業でよく見られる特徴です。

 

そのような企業は、売上が小さい月でも、利益が大きく赤字にならないように仕組みを変える必要があります。そこで、製造部門をスリム化し、売上が小さい月でも余剰人員や余剰時間が発生しないぐらいまで、人員を減らします。

 

そうすると、売上が大きくなった月は当然、人手が足りなくなります。そこは、外注や残業対応でカバーします。残業代部分も、変動費の一つです。こうすると、余剰人員・余剰時間の発生を防ぐことができるため、赤字の発生を抑えることができ、その企業の損益は大きく改善します。

 

売上が小さい月をベースに人員を構成し、売上が大きい月は外注や残業対応でカバーする企業は、固定費の割合が小さく、変動費の割合が大きい企業です。売上の増減による影響を、こうすることによって小さくできます。安定した経営ができます。製造業を例にあげましたが、どの業種でも、同じことが言えます。

固定費の変動費化にひそむ問題と改善策

次に、建設業の会社を例に、考えてみます。現場の正社員が5人いましたが、仕事の多い時と少ない時の差が激しく、人員構成を考えてみたら、正社員5人の体制は仕事の多い時に合わせた人員体制となっていました。

 

仕事の少ない時も同じように給料を支払わなければなりません。それで、仕事の少ない時は、人件費の負担が重く、赤字となっていたとします。

 

そこで、現場の正社員5人のうち、職長1人、他1人残し、3人に退職してもらいます。一方、新たに外注として職人4人を確保し、その4人は仕事に出た日のみに変動費である外注費として支払うことにします。

こうすると、固定費である正社員給料は削減できるのですが、一方で外注比率は高まりますし、必要な時にタイミングよく来てもらうことも難しくなってきたりします。また時間単価で言えば、正社員の場合よりも、支払う費用が高くなりがちです。

 

このように、固定費の変動費化、つまり正社員に辞めてもらい、外注に変えていくと、毎日の職人の手配の負担は大きくなることでしょう。

 

また経営者としては、次のように考えることもあるでしょう。

 

「タイミング良く職人の手配ができないと、受注できた仕事をキャンセルしなければならなくなったり、そうするとその受注先からの仕事が今後来なくなってしまうおそれもあるので、無理してでも技術のない高い外注費の職人を連れてこなければならなかったり、それで時には利益が出なくなってしまったり、技術不足から補修などがかさんで赤字になってしまう場合もあるではないか。」

 

職人を手配し段取りをする職長の負担も大きくなることでしょう。だからといって、仕事のピークに合わせて、正社員を増やしてしまえばどうなることでしょうか。その場合、仕事の少ない時期には、余剰人員が出てしまうことになり、赤字が出てしまうことになります。

この例にひそむ問題は、管理体制、にあります。

 

仕事の受注見通しはどうか、職人のスケジュールはどうか、ということを、職長、職人、もしくは経営者で、共有しておく必要があります。

 

職長、職人、経営者間でGoogleカレンダーなどを使ってスケジュールを共有したり、全くパソコンが使えない人であれば1日1回は連絡をとってスケジュールを確認しておいたりするなど、情報共有手段はいろいろあるはずです。

 

仕事が多い時に困るからと、余剰人員を抱えるのではなく、仕事が多い時でもいかに仕事の受入体制を確保できるか、その体制を構築することを考えます。ある仕事に慣れない職人でも、職長が仕事の状況をチェックしておくなど、管理体制をしっかり構築することを考えます。

 

どうしても仕事が多い時に合わせた人員を確保したいというのなら、仕事の少ない時に、余剰の社員を余らせるのではなく、仕事の少ない時には余剰の社員を営業に出させるなど、時間を有効に使わせるべきでしょう。

 

「ふだんは現場の社員に営業をさせることなんてできないよ。」というのなら、仕事が少ない時に余剰社員が出てしまう人員体制はとるべきではありません。仕事が少ない時に照準を合わせた、人員体制を心掛けるようにしてください。

 

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