融資を出しやすくするために事業計画書にこれを盛り込む
事業計画書で自社の返済能力をアピールする
事業計画書は、言わずもがな、融資審査においての強力な材料となります。
銀行が融資を出したい企業。それは、返済をしてくれる企業です。当たり前といっては当たり前ですが、この原則をいかに経営者が意識して、自社がしっかり返済できる企業であることを、銀行に伝えることができるか。
自分の会社は、融資を銀行にしっかり返済できる企業である、ということを銀行にアピールするために、一番良い資料が、事業計画書です。
多少は赤字であったとしても、事業計画書により今後、どう利益を出し、利益から現金が生み出され、それにより返済していける、ということを銀行に伝えていきます。
事業計画書に必ず入れるものは、むこう3~5年の損益計画(年次・月次)ですが、それとともに、資金繰り計画(月次)、つまり予定資金繰り表も入れましょう。
その資金繰り表は、自分の会社が、返済ができる企業であることを説明するための、一つの根拠資料、となります。
中小企業の多くはキャッシュフローで銀行融資の返済ができない
ただ、中小企業のほとんどは、
キャッシュフロー < 銀行への返済額
の状態です。キャッシュフロー、つまり事業によって年間生み出される現金収入より、年間に返済する金額の方が上回ります。
例えば、年間1,000万円のキャッシュフローが生み出される企業でも、毎月500万円、年間6,000万円の返済を行っていれば、差し引き5,000万円の現金が、流出してしまうことになります。
そのような状況において、年間5,000万円の融資を銀行から受けることによって、資金繰りはまわることになります。
ということは、取引している銀行から融資を受けられる体制はできているよ、ということを事業計画書に盛り込むことができれば、自分の会社は銀行にしっかり返済できる企業である、ということを銀行に伝えることができます。
例えば、3つの銀行と取引している企業、としましょう。
事業計画書に銀行別の融資スタンスを入れる
事業計画書には、3つの銀行別に、次の2つのことを書きます。
1. |
各銀行の自社に対する融資のスタンス |
---|---|
2. |
各銀行の融資のペース(過去数年の融資の時期と金額) |
1については、「銀行から積極的に融資の提案がある。」「銀行が過去のピークまではいつでも出しますよと言ってきている。」というように、銀行が自社に対し、どのような融資のスタンスなのか、銀行は融資についてどのように言ってきているのか、ということを書きます。
2については、2009年3月 1,500万円(3年返済)実行
2009年9月 2,000万円(3年返済)実行
2010年2月 1,200万円(3年返済)実行
というように、過去数年、銀行ごとに、どのようなペースで融資が出てきたか、を書きます。
これらを表にして、書くことにより、事業計画書の中で、自分の会社は各銀行から資金調達できる力がある企業である、ということを伝えることができます。
また事業計画書における予定資金繰り表の中に、いつの時期にどの銀行に、いくらの融資を受けるつもりだ、ということを書いておきます。
それら融資を受けることにより、資金繰りが円滑にまわる、ということを銀行が理解できるようにします。
このようにすることによって、事業計画書の提出を受けた銀行としては、この企業は、しっかり返済ができる企業なんだ、という印象を受けることになり、融資をスムーズに出しやすくなります。
また事業計画書を提出する銀行に対し、いつにいくらの融資を見込んでいてほしい、ということを書いておきます。これにより、銀行は心構えができることになります。ただ、銀行から融資が渋られている企業の場合、その事実を正直に事業計画書に書いておくべきかどうか。
事業計画書を銀行に対して提出するのは、銀行から融資を受けやすくすることが第一の目的です。不利になるようなことであったら、書かない方がよいです。
ただ、「メイン銀行からはいつでもバックアップすると言われている」というように、メイン銀行が支援体制をしっかりしてくれているのであれば、それを書くことにより、他の銀行も安心してくれる、ということもあります。
要は、事業計画書の見せ方です。返済がしっかりできる企業だよ、ということを銀行にどう印象づけるか、です。
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