会社に利益をもたらす「損切り」の考え方
会社の利益が悪化するパターン
企業の状態が悪化するパターンとして、よく見られるものに、新規事業の「損切り」ができず、どんどん深みにはまってしまった。というものがあります。
例えば、新規事業を立ち上げたとします。その新規事業に、まずは3百万円、つっこみました。しかし、その事業からの売上は、なかなか立ちません。人も2名、専属で張り付けているので、人件費もその分、かさんでいきます。
そこで、経営者はどう考えるか。次の選択肢があります。
- 新規事業をやめ、本業に、より力を入れる。
- もっと多くの資金を投資して、その新規事業をなんとか軌道に乗せようとする。
その新規事業は、いくらがんばっても売上はほとんど立たない事業か、それとももう少しで軌道に乗ってくる事業であるかは、見極めていかないといけないですが、いくらがんばっても売上はほとんど立たない事業であるにも関わらず、その事業をやめることなく、もっと多くの資金をつっこんでいく経営者がいます。
その経営者に、「なんでそんな、売上がいっこうに立たない新規事業に力を入れるのですか」<と聞くと、たいていは、「もう少しがんばれば、軌道に乗るんだ。」とおっしゃいますが、その経営者の裏の心理を考えてみますと、
「今まで多くの資金と人材を、その新規事業につっこんだから、なんとかその事業を成功させたい。」ということがあります。
会社が利益を上げるために損切りを行う
私は会社員時代、株式投資にはまっていたことがあります。株式投資で、株を買って、その後、株価が下がると、心理状態として「絶対に損して売りたくない。」と思って、株価が下がり続けても、いっこうに手放さない、このような損切りできない人は、株式投資でどんどん損失を出す人です。
私も株式投資でなかなか損切りができず、給料を全部はたいて、通算の損失額は、6年間で、6百万円にもなってしまいました。
事業でも同じで、新規事業は早いうちに見極めて、引きべき時は引かないと、損失が大きくふくらんでしまうことになります。
それが行き過ぎることになると、自己資金だけならともかく、本来は本業の運転資金として融資された資金も新規事業につっこんでしまうことになり、大きな損失を出してしまうことになります。
新規事業で大きな損失を出してしまい、厳しい状況になってしまう企業は多くあります。そうならないために、経営者としては、早いうちに新規事業を見極め、損切りする時は思い切って損切りすることです。
会社に利益をもたらすためにまず行うべきこと
また、そもそも新規事業を行う時は、少額の投資から、テストを行っていくことをお勧めしたいです。
例えば、はじめは広告投資は少額に抑え、市場の反応を見ていく。例えば、新規事業を行うための人員は、新規採用するのではなく既存の社員から選抜し、またその社員が全ての時間を新規事業にかけるのではなく、一部の時間を新規事業にかけるようにする。
新規事業を一気に行おうとするから、多くの損失を出してしまい、また経営者は「いったん始めたからには成功するまではやりぬくぞ」となかなか損切り」の決断ができずに損失をどんどんふくらませてしまう。
それで大きな赤字を出してしまい、借入金も多額となってしまい、銀行から融資が止められてしまい、資金繰りが厳しくなる。
このようなパターンの企業は本当に多いです。新規事業は、なかなか軌道に乗らないのなら、早期の「損切り」が必要です。
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