将来性を見て融資
「銀行は、弊社の将来性を見てくれない。」
この言葉、多くの経営者から聞く言葉です。
しかし銀行からすると、
「将来性、将来性、って、言うだけなら誰でも言えるよな。」
と、面と向かっては言いませんが、思っています。
私は銀行員の駆け出しの時、得意先係をやっていて、担当先から融資案件をいただき、融資の稟議書を書くときに、「当社は将来性があり・・・」ということをよく書いていました。
支店長からはこの言葉を無視されていましたが、今考えると、これほど空虚な言葉はないな、と思います。
銀行員生活を長く続けると、将来性がある、と経営者から言われて、その後本当に成長・発展していった会社は、ほとんどないということにある時、気づきます。
あの時の経営者の言葉はなんだったんだ、と思います。
そういうのを経験して、銀行員は、経営者が言う「将来性」という言葉を信じなくなっていくのでしょう。
将来性があると、堂々と言えるのは、年々右肩上がりで、売上が上がってきている企業ぐらいでしょう。
売上が横ばいか、減少しているのに、将来性という言葉を使うのは、空虚でしかありません。
いつも思うのですが、売上を右肩上がりに伸ばしていける経営者の特徴は、売り方を知っている、ということです。
私が経営者と話をすると、タイプが次の2つに分かれますが、
1.自社を語るとき、商品やサービスの素晴らしさ、技術力の素晴らしさを中心に語る経営者。
2.自社を語るとき、商品やサービスをどうやって売っていっていくか、を中心に語る経営者。
1のタイプの経営者は、たいてい売上は上がっていません。横ばいか減少傾向であることがほとんどです。
一方、2のタイプの経営者は、高い確率で、売上が増加傾向です。
経営者が、1のタイプか、2のタイプかは、日頃経営者が、何を重視しているか、によります。
商品やサービスが素晴らしくても、売る力がなければ、なんともなりません。
あなたの会社が売上を増加させていきたいのであれば、経営者としては、2のパターンとなるべきです。
将来性がある企業は、商品やサービスが素晴らしい、というよりも、売る力がある企業です。
ただ銀行員の思考法は、1のパターン、つまり商品やサービスが素晴らしいと、将来性がある、となりがちなので、難しいところです。
銀行員経験を積んでも、なかなか2のパターンが将来性のある企業である、という考え方にはなれないでしょう。
それよりも、自社が右肩上がりで売上が増えてきている、ということをアピールし、将来性があることをアピールするべきです。
売上が右肩上がりでなければ、将来性をアピールすると、銀行員に笑われます。
そういう企業は、決算書が良い、という内容でアピールするしかありません。
それもできずに資金調達できず、資金繰りが苦しい、というのであれば、早急に資金繰り対策を、手遅れになる前に、考えなければなりません。