売上大幅激減の会社の立て直し方
ここ数年、多くの企業から、売上が激減した、というご相談をいただきます。例えば、前期は売上5億円であったが、今期は売上が2億円にまで激減した、という話です。
この理由としてよくあるのは、1社や2社に多くの売上を依存しているパターンです。
自動車業界や家電業界などで、下請け、2次下請け、3次下請けの企業など、売上は、その元請けの企業から仕事がまわってくるかどうかに大きく依存しております。その元請けの企業自身の売上が激減したり、もしくは地方工場の撤退、下請けの集約化などにより、下請け企業は大きな影響が出てきます。
このように、売上が激減した場合、倒産を回避して再生への道を進むにはどうすればよいでしょうか。
この場合、2つの考え方があります。
1つは、今まで1社や2社に売上を依存していた体制を見直し、売上先を分散する体制を作ること。リスク分散の考え方です。この場合、自社の技術を生かし、今まで依存していた業界ではなく異なった業界にアプローチできないか、を考えます。
ただ、この場合は新規売上先の開拓の必要があり、すぐにとれる対策ではないでしょう。将来的な策ではあっても、緊急事態にすぐに行うことができる策ではありません。そこで、とらなければならない考え方として、「縮小均衡」があります。
売上5億円が、例えば4.5億円に減少するような少しの売上減少であれば、一部の経費削減でしのげるのかもしれません。しかし売上5億円が、2億円にまで減少するような売上激減の状況であれば、経費削減という生ぬるいことでは全く足りません。売上2億円で損益がトントンとなるように、損益計画を一から作ります。
そのために、最も削らなければならない経費は、多くの会社では人件費でしょう。多くの社員に、辞めてもらわなければ、大きな赤字を出し、会社は早晩、破たんしてしまうことになるでしょう。
社員を辞めさせることができない?
社員を辞めさせることができなければ、会社は破たんして、全員、共倒れということになってしまいます。この場合の解雇は、整理解雇ということになりますが、整理解雇には次の4要件が必要です。
1.人員整理の必要性
整理解雇を行うには、相当の経営上の必要性が認められなければなりません。
2.解雇回避努力義務の履行
解雇は、最後の手段であることが要求されています。役員報酬の削減や、新規採用の抑制、希望退職の募集など、整理解雇を回避するための経営努力がなされていることが必要です。
3.被解雇者選定の合理性
解雇される社員の選定基準、具体的人選が合理的である必要があります。
4.手続の妥当性
説明、協議など、整理解雇を納得してもらう手順を踏んでいる必要があります。このように、整理解雇を行い、売上が激減しても損益がトントンとなる体制作りが必要です。
私どもでは、資金繰りが行き詰まって相談に来られた企業の多くで、このような整理解雇により人件費を大幅削減するなど、売上が激減しても損益がトントンとなるような損益計画を一から作り直し、その計画に沿って、損益がトントンとなるような体制作りを行っています。
またその策をうつにしても、一時的に大きな赤字を計上してしまう場合は当然ありますが、その場合は資金繰り表を作成して検討し、支払いを延ばしてなんとか資金繰りをまわす手段を考えます。
とにかく、企業は倒産を回避し、再生に向かって進んで行かなければならないのです。できない、できない、という経営者が多くいますが、その経営者には、考え方を180度変えてもらいます。