銀行の得意先係が最も評価される項目とは
銀行員も、他の会社と同じように、上から人事評価され、出世できるかどうかが決まってきます。銀行の支店内には、預金係、融資係、得意先係、といます。預金係は、窓口で受け付けられた、もしくは得意先係が取引先で受け付けてきた、預金や振込などの事務を主に行う係です。
融資係は、支店内で回された融資の稟議書を、審査することを主に行う係です。得意先係は、融資先企業など、銀行の取引先(得意先)をまわり、営業活動を主に行う係です。この中で、得意先係は、どう人事評価されるかというと、いかに多くの営業成果を上げることができたか、です。
銀行の期の区切りは、4~9月、10月~3月の、6カ月ごと、です。
6カ月ごとに、支店ごとにノルマが与えられ、それが支店内で個々の得意先係に割り振られます。ノルマが与えられる項目は、30~40個に及びます。
- 新規融資先の獲得
- 融資総額の増加
- 信用保証協会保証付融資の総額増加
- 平均金利の向上
などの、融資に関する項目から、
- 年金入金件数の増加
- 給料入金件数の増加
- クレジットカード件数の増加
- 定期預金の増加
- 各種手数料の増加
など、預金や手数料に関する項目など、多くの項目が計測され、それらはノルマの項目として、割り振られることになります。これらの項目の中で、得意先係の中で、花型項目、つまりこれが達成できる行員は人事評価が高くなりやすい、と言われているのが、新規融資先の獲得、です。
これは文字通り、その銀行で融資がない企業に対し、融資を行ったら、カウントされる項目です。
他の項目、例えば融資総額の増加や、平均金利の向上などは、既存の融資先との取引を深めていって数字を作っていく項目です。一方、新規融資先獲得は、今まで融資取引のない企業を一から開拓していかなければ、上がっていかない項目です。
既存先への営業活動を行える得意先係の行員はいても、新規先への営業活動を行うことができる得意先係の行員は、なかなかいません。だからこそ、新規融資先を獲得できる行員は、貴重な存在なのです。
ただ、新規融資先だからと、どのような企業への融資でも、カウントされるわけではありません。
基本は、格付でいうと正常先の企業に対しての融資、です。新規融資をしようとする場合、まずは決算書を企業から提出受けることになりますが、決算書を企業からもらったら、銀行内でさっそく格付作業が行われることになります。
格付で、要注意先に判定されたら、もうだめです。融資自体、行われることがほとんどないでしょうが、信用保証協会の保証をつけたら要注意先企業に融資を行う場合もあります。また銀行では、正常先の中でも、1格、2格・・・6格と、決算書の内容等に応じて、細かな格付を行っています。
1格~3格となった企業への新規融資先は、ダブルカウント、つまり通常は1件とカウントするところを2件とカウント、というやり方をとっている銀行もあります。銀行が各支店、また各得意先係に、新規融資先獲得のノルマを与えるイメージは、次のようなものです。
新規融資先獲得のノルマ
2019年4月~9月に、A支店に50ポイントの新規融資先獲得のノルマ。
1件獲得で1ポイントだが、1格~3格は2ポイントとする。要注意先以下はカウントしないが、信用保証協会保証付融資であったらカウントすることとする。
↓
A支店の得意先係長Bは、自分も含めた得意先係の行員にそのノルマを割り振っていくが、Bに15ポイント、行員Cに10ポイント、行員Dに10ポイント、行員Eに10ポイント、行員Fは2年目行員でありまた集金業務が多くノルマを抑えて5ポイント、と割り振る。
このような、ノルマの割り振りが行われます。
では、銀行の得意先係は、新規融資先獲得、というノルマを、どう達成していこうと活動を行っているのでしょうか。ここでのヒントは、みなさまの会社の中には、新規のいろいろな銀行がひっきりなしにとびこんでくる会社もあれば、全くとびこんでこない銀行もある、ということです。
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