売掛金がひっかかった時
事業を行ってくると、つきものの問題が、売掛金が回収できない、という問題です。売掛先が倒産してしまったときはもにろん、倒産しなくても売掛先の資金繰りが厳しい状態のとき、売掛先から、
「今月末の支払いは待ってくれ。後で必ず払うから。」
と言われてしまったり、もしくは相手の誠意がない場合は入金期日をすぎても相手から連絡がなく、こちらから連絡しなければならなかったりするなど、経営者として、頭を悩ます大きな問題の一つでしょう。
売掛先が事業を継続している状況で、入金期日に入金がなかったら、その入金があるまでは、その売掛先への販売をストップしたり、もしくは下請けをストップさせたりして、これ以上の売掛金未回収を起こさないようにする対策が考えられます。
しかし現実問題、自社内の、その売掛先への売上ウェートが高かったりすると、なかなか簡単に割り切れないものでしょう。そして売掛金をどんどんふくらませて、結局売掛先が倒産してしまったら、大きな金額が引っ掛かってしまうことになります。
このようなケースにそなえ、やはり売上先を分散させることは必要です。特定の1社や2社への売上ウェートが高かったら、その企業が倒れたら、自社も共倒れとなります。そういう事態を防ぐために、売上先の分散は、リスクを抑える上で重要な対策です。
では、売掛先が倒れ、実際に売掛金が引っ掛かってしまったら、どうしたらよいでしょうか。
この場合、入ってくるお金が入ってこないですから、当然資金繰りが悪化することになります。この場合に、銀行に運転資金の融資を申し込みますが、銀行員の本音から言うと、
「取引先のA社が倒産して2,000万円引っ掛かってしまいました。その分、融資してください。」
と言われて融資を申し込まれると、審査はなかなかとおしづらいです。いつも運転資金の融資を申し込むときみたいに、わざわざ売掛金が引っ掛かったことを銀行に言わず、融資を申し込む方がよいです。
また、融資の審査が通る企業であればまだしも、審査が通らない企業であれば、それこそ資金繰りの危機です。この場合には、資金繰りをもう一度組み立てて、取るべき対策をとっていかねばなりません。
銀行返済が重いのであればリスケジュール(返済金額を減額)を銀行と交渉しますし、リスケジュールをすでにやっているのであれば、減額した返済金額をさらにリスケジュールする話をしますし、もしくは社会保険や税金支払い、それでも足りない場合は買掛金支払いなど、いろいろなところを見直して、どうにか資金繰りがまわる状態を作っていきます。
また、引っ掛かった売掛金は、決算書に通常の売掛金として記載しておけば、銀行は、その売掛金が引っ掛かっていることを、なかなか気付かないです。銀行に詳しくつっこまれたら、その売掛金が引っ掛かっていることを伝えるぐらいのスタンスでよいのではないでしょうか。
それは粉飾でもなんでもなく、銀行が詳しく調べないのが悪い、だけの話です。(もちろん架空の売掛金掲載は粉飾決算でありいけないですが)
銀行員が決算書の売掛金明細を見て、その売掛金が引っ掛かったものだと気づくのは、
- その売掛先を調べてみたら、倒産していたことが分かった。
- 連続した2期の決算書を見て、その売掛先への売掛金金額が全く同額である。
こういう場合であり、売掛金が普通に記載されていれば、結構、その売掛金が引っ掛かっているとは気付かないものです。
ただ銀行に売掛金の引っ掛かりを気付かれないようにするのは、その銀行からまだ融資が受けられている状況の場合であり、リスケジュールを行っていたりしてその銀行からいっさいの融資が受けられていないのであれば、リスケジュールの継続など銀行の協力をもらうために、あえて売掛金が引っ掛かった事実を企業側から伝えた方がよかったりします。
ちなみに、売掛金が引っ掛かった場合への備えとして、中小企業総合事業団の、経営セーフティ共済というものもありますので、備えとしてかけておくことも考えておいた方がよいでしょう。
経営セーフティ共済→http://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/index.html
最新のコラムやQ&A、ニュースレターは、無料メルマガ「銀行とのつきあい方」でお届けしております。銀行の動向、資金調達、資金繰り改善、補助金、経営改善、スモールM&A等に関する情報を取得いただけます。下記のバナーよりご登録ください!