大都市に進出している地方銀行をねらう
地方銀行の東京支店、大阪支店など、大都市に進出している支店は、その銀行で融資量を稼ぐ役割を担っている支店、という位置づけである場合が多いです。例えば四国地方の銀行は、大阪に支店を多く出しています。
なぜなら、地元の四国では融資を出すところが少なく、大阪に出ていって大阪の企業で一定の売上規模の企業に融資を出すことにより、融資量を稼いでいます。融資量が大きくなると、利息収入が多くなります。つまり融資量を稼ぐことによって、銀行の一番の収益源、利息収入を稼ぐことができるのです。
私も地方銀行の大阪支店勤務でした。お客様には上場企業も多くありました。
上場企業は、売上規模が大きいので大きな金額の融資を出しやすいし、またある程度の信用(最近はそうでもなくなりましたが)があるので、地方銀行の大都市の支店は、融資先としてねらうのです。
ちなみに上場企業の融資審査の行い方は、次のとおりです。
上場企業は、有価証券報告書のようにIRで出されたものしか、銀行に資料をくれないことが多いです。
有価証券報告書の中にある決算書を見て決算分析し、会社の業況等は有価証券報告書に書いてある説明を参考にし、私は稟議書を書いていました。
たまに、IRで出していない内部資料をくれる上場企業もありましたが、あまり詳しい資料を出すとインサイダー情報流出の危険があるのでしょう。IRで出されたものしか資料がない場合が多く、それを見て稟議書を書き、融資審査を行うのです。
また、上場企業で多いのが、シンジケートローンです。
シンジケートローンとは、ある銀行が主幹事になって、近隣の銀行に募って、融資量を確保して融資するものです。
例えば、ある企業が50億円、資金調達したいとします。
主幹事銀行がその話を聞き、ただ自行だけで50億円を出すのはリスクが高いと考え、近隣の銀行に声をかけ、5億円を出してくれる銀行を10行、自行も含めて集めます。そういう話があった銀行は、審査を行い、シンジケートローンに乗るか降りるかを決めます。
そのようにして組成される融資が、シンジケートローン、です。
話は逸れましたが、地方銀行の東京支店、大阪支店など大都市に進出している支店は、上場企業の他、融資を出している企業で多いのが、地元に関係した企業、です。
例えば、愛媛県の銀行の大阪支店があるとします。
- 愛媛県に工場がある大阪本社の会社
- 社長が愛媛県出身である大阪本社の会社
- 愛媛県の会社と大きな取引のある大阪本社の会社
などが、その愛媛県の銀行の大阪支店と取引しやすいのです。あなたの会社が東京・大阪など、大都市にあるのであれば、このようなつながりを考えて、地方銀行で進出してきている支店との取引をねらってもよいでしょう。
その支店としても、地元とつながりのある企業であれば、そうでない企業より、取引開始の言い分を、本部に伝えやすいのです。
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