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新銀行東京の不正融資問題

新銀行東京の元行員が、ある企業に不正に融資を受けさせて報酬をもらい、問題となっています。融資ブローカーが連れてきた資金繰りに困っている企業に対し、元行員が、その企業が融資を受けやすいよう決算書の偽造(粉飾)を指示したとのことです。また営業実態のない企業を、あたかも営業実態のあるように、その行員が銀行に対して報告したとのことです。

 

ここでの問題は、

 

×決算書を偽造したこと

×決算書の偽造を、融資を行う側の銀行の行員が指導したこと

×営業実態のない会社を、あたかも営業実態のあるように行員が銀行に報告したこと

×融資の成功報酬(キックバック)を銀行の行員が受領したこと

 

他にもいろいろな問題がありますが、まず思いつくのはこのような問題です。この問題には、融資ブローカーも関わっていますが、融資ブローカーという仕事自体が、違法なわけではありません。

 

貸金業法第2条には、「貸金業とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介で業として行うもの」と規定されています。貸金の媒介、つまり、融資ブローカー自体は、違法ではないのです。そして出資法第4条で、媒介手数料は融資金額の5%を超えた金額であってはならない、と規定されています。つまり、融資ブローカーという仕事も業としては認めらているのです。

 

弊社も「貸金業」の免許をとっていて、媒介業者として(自社が融資を出すのではなく)、法律の範囲内で、金融機関のご紹介を行うことはあります。問題は、決算書の偽造(粉飾)や営業実態の偽装などにより詐欺行為で融資を受けること、にあります。

 

このような話を聞くと、ギクリ、とする方はいらっしゃいませんか?

 

弊社にご相談いただく企業は、ほとんどが資金繰りの悩みを抱えていらっしゃいますが、みなさまの企業の決算書を見てみると、たいていの企業は、なんらかの粉飾決算を行っていらっしゃいます。

 

弊社が創業して間もない頃は、資金調達のコンサルティングが中心でしたが、現在は、どうやって会社を立て直すか、事業再生・会社再生のコンサルティングを中心に行っております。

 

なぜかというと、相談を受けていくうちに、中小企業にとって必要なことは、×お金を借りることではなく、○しっかり利益が上がる経営を行うことだと、とても強く感じたためです。現在でも金融機関のご紹介は行っていますが、あくまでも会社再生とセット、再生のための資金注入、という目的で行います。赤字補填、という目的では決して行いません。

 

赤字補填、それでお金を借りても、赤字体質を変えなければまた同じことになりますから。重要なのは、目先のお金ほしさに決算書を粉飾してまでお金を借りることではなく、まずは黒字体質にし、合わせて、お金を借りなくても資金繰りがまわるように対策をうっていくこと、です。

 

新銀行東京の問題は、銀行の行員自身が粉飾に荷担していたことが問題でしたが、そうでなくても決算書の粉飾は、詐欺行為として刑事罰を受けてもおかしくない行為です。

 

残念ながら、決算書の偽造を指南する悪質融資ブローカーが、日本にはとても多く、はびこっています。その悪質融資ブローカーも目先のお金がほしく、経営者も目先のお金がほしい、のでしょう。目先のお金を追い求めると、後でもっと厳しいことが起こるのが、世の常です。将来を見据えて経営の体制を整えることよりも、なぜ目先のお金を追い求めるのでしょうか。

 

私たちだって、目先のお金がほしいのであれば、決算書を偽造して、媒介手数料も法外の30%や50%をとっているのかもしれません。しかしそのような行為は、決して企業のためではなく、むしろその企業をますます悪化させる行為で、また金融機関にも多大なる迷惑をかける行為だから、私たちは絶対そのような行為は行わない、のです。

 

それよりも、いかに企業を黒字転換させ、資金繰りがまわるような対策をとっていくか、そちらの方が、よほど重要なのです。

 

政府などが中小企業の支援策をとっていくのなら、融資を簡単に受けられるようにするよりも、中小企業の再生専門家を多く養成して、中小企業に送りこんでいくことの方が、よほど中小企業のためになると思うのですが・・・

 

赤字体質が続く企業は、銀行が貸し渋りをすることが問題なのではなく、赤字を黒字化する対策を行わないことの方が、ずっと問題なのです。

 

私たちは、月に70社の中小企業経営者からご相談を受け、また190社で顧問契約に入って会社再生への取組みを行っている、第一線にいますから、そのようなことをつくづく感じるのです。政府などがそのような策を行わないのなら、民間であるわれわれなどが、行うしかない、と最近、強く思います。

 

テレビや新聞などのマスコミは、「景気が悪いから・・・」「銀行が貸し渋りするから・・・」という論調に、持っていこうとします。しかし重要なのは、赤字体質を改善し利益が上がるようにするという、経営努力でしょう。経営者として当然のことではないでしょうか。

 

最近、テレビ局の取材を受けましたが、そのようなことを訴えました。(テレビ局にとってみればおもしろくないかもしれませんが・・・)今後も機会を見つけて、そのようなことをもっと訴えていきたいと思います。

 

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