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信用保証協会の責任共有制度の影響

今週の週刊ダイヤモンドにもありましたが、昨年10月に責任共有制度が開始されたことにより、中小企業の資金調達環境に大きな変化が出ています。責任共有制度とは、それまで信用保証協会保証付融資は融資金額の100%を信用保証協会が保証していたものが、保証割合が80%となり、残りの20%は信用保証協会の保証がなく、貸倒れとなった場合銀行が損失を被る、というものです。

 

今まで、信用保証協会の保証承諾が得られれば、銀行はほとんど無審査で、融資が出ていました。しかし責任共有制度がはじまってからは、信用保証協会の保証承諾が得られても、銀行審査の壁が立ちはだかります。

 

信用保証協会の審査だけで済んでいたものが、信用保証協会と銀行、両方の審査が必要になった、ということになります。そうなると、銀行のプロパー融資(保証がつかない融資)と変わりありません。銀行の融資審査において、決算書のウェートは8割です。

 

いくら、「今後は良くなる見通しだから」「受注がとれているから」「新規製品は売上が見込めるから」「今までその銀行と長いつきあいをしてきたから」といっても、直近の決算書の内容が悪ければ、融資は困難になります。

 

信用保証協会も、審査のウェートの8割は決算書です。しかし、銀行に比べて信用保証協会の審査は、厳しくないのです。なぜなら、信用保証協会は中小企業の発展のために存在するものですから。

 

ただ、信用保証協会が保証承諾を行っても、銀行が融資を出さない、と言えば、融資は出ません。決算書は、貸借対照表と損益計算書とがありますが、審査で見られる重要なポイントと言えば、貸借対照表においては、純資産合計がどうか、です。ここがマイナスであると、債務超過ということになります。債務超過となると、融資が困難となります。

 

債務超過でなくても、資産の部で資産価値のない資産が多くあってそれを差し引くと実質債務超過となったり、純資産合計が少なかったりすると、融資審査は厳しくなります。

 

また損益計算書においては、営業利益と経常利益です。営業利益は事業自体で上げた利益であり、これがマイナスであると、事業をやっている意味がない、ということになります。

 

また経常利益は、継続的な利益です。これがマイナスであると、継続的にマイナスが続く、という見方をされてしまいます。営業利益・経常利益は、少なくともプラスに、できればプラス額を大きくできなければなりません。

 

では、責任共有制度で信用保証協会保証付融資が受けられなくなってしまった企業はどうすればよいか。キャッシュフローつまり企業が稼ぐ現金で、既存の融資の返済ができているのであればまだしも、そうでなければ、銀行と交渉して毎月の返済金額を抑制してもらわなければなりません。いわゆるリスケジュールです。

 

キャッシュフローは、簡易的に「利益+減価償却費」で計算することができます。それが、改善により毎月の返済額を上回れればよいのですが、下回り、融資も受けられないということになれば、リスケジュールにより資金繰りを落ち着かせ、会社の再生に向けて取り組んでいかなければなりません。

 

融資が受けられない状況で、キャッシュフローで返済できていないのに無理して返済をし続けるのは、自殺行為です。

 

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