資金需要により必要となるお金を「ハネ資金」で借入する
銀行から多くの融資を受けている企業が、いきなりどこの銀行からも融資が受けられなくなるケースが、多くあります。言ってみれば、銀行にいきなりハシゴを外されるようなものです。
例えば次のように、です。売上5億円、当期利益1百万円。借入総額2億円、毎月返済金額5百万円。借入はキャッシュフローで返済しないと、手元の現金預金が減少していくことになります。
キャッシュフローの簡易計算式は、キャッシュフロー=当期利益+減価償却費この企業の減価償却費が9百万円であれば、キャッシュフローはキャッシュフロー=当期利益1百万円+減価償却費9百万円=10百万円となります。
キャッシュフローを厳密に計算するにはキャッシュフロー計算書を作って計算しなければなりませんが、簡易に計算するのなら上記の計算式を使います。
この企業は、年間返済額5百万円×12ヶ月=60百万円 キャッシュフロー10百万円<年間返済額60百万円であり、1年間で現預金が10百万円−60百万円=△50百万円、減少してしまうことになります。
そのため、この企業は年間で50百万円、調達しなければならないことになります。こういった資金需要により必要となる融資は、銀行用語で「ハネ資金」と言います。こういった融資は、名目は運転資金として、借ります。
ハネ資金が受けられている企業はまだいいでしょう。しかし、問題はこういった融資が受けられない企業です。融資が全く受けられなかったり、受けられても年間で10百万円や20百万円で、50百万円に届かなかったり、と。こういった場合、リスケジュール、つまり返済減額交渉、を行うしかありません。
例えば毎月5百万円の返済を毎月50万円の返済になるように交渉します。ただ、なぜこのように、いきなりハシゴを外される、つまりいきなり融資を受けられなくなるのでしょうか。
原因は、次のようなものがあります。
- 損益で赤字を出した。
- 赤字を出して債務超過(貸借対照表の純資産がマイナス)となった。
- 黒字であるものの、売上が増えていないのに売掛金や在庫が大きく増え、銀行にとってあやしい動き(粉飾決算?)と見えた。
- 前期決算に比べて、売上が増えていない、設備投資も大きくしていないのに借入が大きく増えた。(借入が赤字補てんにまわった?)
- 代表者や関係会社への貸付金が大きく増えた。(銀行融資が転貸された?)
- 銀行の融資審査がいきなり厳しくなった。
など、いろいろな理由が考えられます。いきなり融資が受けられなくなることを防ぐためには、やはりきちんと経営を行って、余計な節税をせず利益をきちんと上げ、借入した資金を代表者へ流用せず、余計な別会社を作って資金を流出させない、経営者としてあたりまえのことをあたりまえに行うことしかありません。
そういった経営努力を行わないと、銀行からいきなりハシゴを外されることになります。まだ融資が受けられているからと、安心しては絶対になりません。
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