汚れた貸借対照表
銀行の融資審査において、8割のウェートを占めるのが、決算書、です。決算書しだいで、融資がスムーズに受けられる会社、融資が受けられない会社が分かれます。
決算書の中味は、大きく分けて
○貸借対照表
○損益計算書
に分かれます。貸借対照表で最も重要視されるのが、純資産合計です。貸借対照表の右下を見ると、純資産合計がいくらであるか、書いてあります。
純資産合計がマイナスの状態は、債務超過、といいます。
純資産=資産−負債ですが、純資産がマイナスということは、資産より負債の方が大きい、ということです。これが債務超過です。
しかし、純資産がプラスで、見た目は債務超過ではなくても、実質債務超過と見られることもあります。純資産=資産−負債ですが、資産に計上されているものが資産価値がなければ、その分、資産は差し引きして見られます。
資産価値がない資産としては、例えば、返ってくる見込みのない貸付金です。
経営者向けに貸付金があり、経営者が会社に対してそれを返済する見込みがなければ、それは資産価値のない、不良資産として見られます。不良資産を資産から差し引きした後、資産−負債がマイナスとなれば、それは実質的な債務超過ということで、銀行からは厳しい評価を受けます。
そのため、貸借対照表の資産の部において、いかに不良資産を出さないか、が、融資審査を大きく左右します。
例えば、貸借対照表上では、資産合計が50百万円、負債合計が45百万円であったとします。そうすると、純資産は50−45=+5百万円で、債務超過ではありません。しかし、資産の中に経営者に対しての貸付金が15百万円あったとします。
経営者に資力がなく、貸付金15百万円は会社に返済することができないと見なされれば、貸付金15百万円は不良資産と見なされます。
そうなると、実質的な資産合計は50−15=35、となります。
そして、実質資産合計35−負債合計45=△10百万円、となり、実質債務超過ということにされます。
債務超過かどうかは、融資審査においては天と地ほどの大きな差です。影響は大きいです。ではどうしたらよいかというと、資産の部において、不良資産として見られるものを少なくするしかありません。
上記の例で言えば、経営者に対しての貸付金15百万円を経営者が会社に返済して貸付金を0にすることができればいいです。
しかし、それができれば苦労しません、実際はほとんどの企業で、無理でしょう。
その場合、生命保険を使って貸付金を消す方法があります。(アドバイスご希望の方は、下記要項にてご相談ください。)
この方法を使って貸付金を保険積立金に振り替えてしまえば、不良資産として見なされる資産を少なくして、銀行から良い評価を受けるようになることが期待できます。
また今回は貸付金が不良資産の場合を例にしましたが、仮払金、未収入金など他の資産科目でも、返ってくる見込みのない資産として不良資産として見なされるものは消した方がよいです。また今回は経営者向けの貸付金を例にしましたが、関係会社向けや、従業員向けなどで、返ってくる見込みのない資産でも、同じことが言えます。
これら不良資産として見られるものも、保険積立金に振り替える方法などを活用して、消していくとよいでしょう。
貸借対照表の資産の部で不良資産として見られるものが多い決算書を「汚れた貸借対照表」不良資産として見られるものがほとんどない決算書を「きれいな貸借対照表」とも呼びます。あなたの会社の貸借対照表が汚れたものであれば、それをきれいにするにはどうすればよいか、考えてください。
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