債務超過は役員借入金が多いから?
私の会社は、全国から多くの中小企業経営者にお越しいただき、資金繰りについての相談をお受けしております。多くの経営者からお話を聞く中で、次のことをおっしゃる経営者が時々、いらっしゃいます。
- 決算書の貸借対照表は債務超過。
- しかし、役員借入金が多くあり、それを実質自己資本とみなすと、債務超過でなくなる。
- だから、債務超過の状態はほっておいてもよい(と、顧問税理士からアドバイスを受けている。)
債務超過、つまり決算書の貸借対照表において、純資産がマイナスの状態であるのは、銀行から融資を受けるにあたって、致命的です。極端な話、純資産が+1円であるのと、△1円であるのとでは、2円の差しかないですが、銀行からの評価は大きく変わります。
債務超過は、融資を受けたいのであれば絶対に避けなければなりません。
話を戻しますと、例えば、決算書の貸借対照表で、純資産が△5百万円とします。債務超過の状態です。しかし、負債の部で、役員借入金が10百万円あります。それを実質自己資本とみなすと、△5+10=5となり、債務超過とは言えなくなります。
それを、銀行は考えてくれるから、債務超過の状態はほっておいてもよい、というのです。顧問税理士からそのようにアドバイスされて、経営者は安心してしまいます。
しかし、元銀行員である私から言わせてもらうと、債務超過の状態はすぐにでも解消すべきです。
役員が会社に貸し付けている貸付金を「債務免除」する、という方法があります。
決算で、役員が債務免除して、それを債務免除益として計上します。そうして債務超過が解消となれば、決算書の貸借対照表において純資産がプラスとなります。
債務免除益も利益ですので、それに税金がかかってしまいます。しかし、債務超過の会社の多くは、税金上の繰越損失が多くあるので、それと合わせて、税金を抑えることも可能です。税金については、顧問税理士と相談してください。
また、役員借入金を資本金に組み入れて債務超過を解消することもできますが、この方法についても税金のことを気をつけなければなりません。ともかく、債務免除や、借入金の資本金組入の方法で、債務超過を解消できるなら、顧問税理士と相談しながら、解消すべきです。
銀行融資の教科書的な本を読むと、決算書では債務超過であってもその超過額を上回る役員借入金があれば、それを銀行は実質自己資本とみなし、債務超過でない企業として扱ってくれる、ということがよく書いてあります。
しかし、元銀行員の私から言わせてもらうと、それは机上の空論です。
やはり、決算書を見て債務超過であるのなら、その企業には融資を出しづらいのです。コンピュータが決算書を分析して審査するビジネスローンも、三井住友銀行のクライアントサポートローンという商品以外は、債務超過の企業は対象外なのです。例え債務超過額を上回る役員借入金があったとしても。
銀行の中には、役員借入金を実質自己資本とみなして取り扱ってくれるところもあるでしょうが、そういう銀行にあたったらラッキーぐらいに考えてください。粉飾して債務超過を解消するのはいけませんが、債務免除の方法などで債務超過を解消できるにもかかわらず、そのままにしている企業は、とても多いです。
そういう企業は、顧問税理士と税金のことについて相談しながら、すぐにでも債務超過を解消してください。
はっきり言って、債務超過である企業、そうでない企業、銀行融資の審査において、天と地の差はありますよ。銀行からスムーズに融資を受けたいのなら、そこは、はっきりと意識を持ってください。
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