余計なことにお金が流れている会社は資金繰りが苦しくなる
私の会社は資金調達のお手伝いもできます。そのことで、ひとつエピソードがあります。
ある会社、A社とします。A社の社長から資金調達の相談を受け、私の会社のルートで1,000万円の資金調達ができました。
私は、この資金調達が実現できたことで、A社の資金繰りはうまくまわるだろうと、喜んでいました。
しかし・・・
なんと、A社の経営者は、知り合いのB社の社長から「今月お金が足りなくて倒産する。なんとか700万円貸してくれ。」と言われ、融資を受けた1,000万円のうち、700万円を貸してしまったのです。
B社は厳しい会社で、A社に返すことはできていません。当然、A社もすぐに資金が不足し、私の会社に、再度資金調達のお手伝いを依頼してきたのです。
私は断りました。当たり前です。
A社のために資金調達のお手伝いをしたのであって、A社がB社に貸す資金の調達をお手伝いしたのではないのです。A社は破綻し、私たちも、金融機関に迷惑をかける形となってしまいました。
このようなこと、あなたにも身に覚えはないでしょうか。
資金によほど余裕のある企業ならまだしも、そうでないのであれば、余計なことにお金を使えないはずです。
例えば・・・
- 知人の会社や、個人から頼まれてお金を貸すこと。
- 儲け話が舞い込んできて投資をしてしまったこと。
- 事業の見通しが立っていない新事業のために別会社を作りそこにお金をつぎこむこと。
- 社長個人での、遊びや贅沢、投資話のために社長にお金を出すこと。
- 必要もない不動産を、ただ不動産を所有したいという所有欲のためだけで買うこと。
など。これらはいずれも、本業とは関係のないことです。中小企業が、そんなことで会社からお金を流出させてしまえば、資金繰りが悪化するのは目に見えています。
資金繰りが厳しいのは、本業とは関係のない、余計なことにお金を流出させてしまっていることがひとつの要因であるケースは多いです。
貸借対照表を見れば、その会社はどのようなことにお金を流出させているか、分かります。
・知人の会社や、個人から頼まれてお金を貸すこと。
→知人の会社や個人への貸付金
・儲け話が舞い込んできて投資をしてしまったこと。
→その事業や事業会社への出資金や有価証券、貸付金
・事業の見通しが立っていない新事業のために別会社を作りそこにお金をつぎこむこと。
→別会社への出資金や貸付金
・社長個人での、遊びや贅沢、投資話のために社長にお金を出すこと。
→社長個人への貸付金
・必要もない不動産を、ただ不動産を所有したいという所有欲のためだけで買うこと。
→過大な有形固定資産
一方で、負債の部を見ると、借入金勘定があります。貸借対照表を見ると、借入金が実質、どこに流れているかが分かります。
例えば、
貸付金(知人の会社) 25百万円
貸付金(赤字の別会社)30百万円
出資金(赤字の別会社)20百万円
借入金が200百万円。としますと、借入金200百万円のうち、75百万円が、余計なことに実質的に使われていると見ることができます。
このような余計なことにお金を使わなければ、この会社の借入金は125百万円ですんでいるはずです。余計なことにお金が流れている会社は、資金繰りが苦しくなるはずです。
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