帳簿棚卸ができる企業は在庫管理ができている企業
会社を立てなおすためには、何よりもまずは、現状把握が必要となります。現状把握を行うためには、毎月、リアルタイムで経営数字を把握することが第一です。試算表を作り、翌月15日までには、1か月の正確な損益が把握できる体制を目指さなければなりません。
しかし、多くの会社では、このような体制ができておりません。
試算表を作っていない企業。このような企業は、論外です。試算表も作らないで、会社を立てなおすことなんて絶対にできません。今すぐ、試算表作りをスタートしてください。また試算表を作っている企業でも、正確な損益が把握できていない企業は多いものです。1か月ごとの正確な損益を把握しているかどうかは、試算表の売掛金や、在庫の動きを見ればだいたい分かります。
試算表で、売掛金が前期決算と同じ数字のままの企業は、ほとんどの場合、売上計上は現金主義、つまり入金になってから、行っているのではないでしょうか。
そして、決算の時に税理士先生に決算書を作ってもらって、はじめて、本来の姿である発生主義で売上を計上した損益となります。
決算の時だけでなく試算表作成の時においても、売上計上は、入金になった時に計上する現金主義の方法ではなく、発生した時に計上する発生主義の方法で行うべきです。
そうしないと、1か月ごとの損益が、さっぱり分からなくなります。
また商品や製品など、在庫勘定が、試算表において動いていない企業。1か月ごとの正確な損益を把握するには、毎月末に、棚卸をしなければなりません。毎月末に棚卸を行い、その時点での在庫金額を把握し、それを試算表に反映することによって、1か月ごとの正確な損益がわかります。
しかし、これは机上の空論と言われるかもしれません。現実の話、1か月ごとに棚卸をするのは、とても大変だからです。
ただ、それでも努力は必要ではないでしょうか。1円間違わない在庫金額までは要求されていません。だいたい、どれぐらいの在庫金額か、分かるようにするだけでも、1か月ごとの正確な損益の把握に近づいていくものです。
棚卸には、帳簿棚卸と実地棚卸があります。帳簿棚卸は、在庫を受入れたらプラス、在庫を払い出したらマイナスにして、帳簿で在庫金額がリアルタイムに分かるようにする方法です。
一方、実地棚卸は、在庫の数を数えて、在庫金額を把握する方法です。
帳簿棚卸ができる企業、つまり在庫金額を常に把握している企業は、在庫管理がしっかりできている企業です。適正な在庫量をコントロールできるため、不良在庫の発生は少なくなります。
在庫の適正な管理は、健全な経営にあたっては重要なことです。
そうです。在庫金額を常に把握できる体制作りが、1か月ごとの正確な損益の把握につながり、また適正な在庫管理により健全経営に近づいていくのです。実地棚卸を毎月行うことは大変でも、帳簿棚卸は毎月できるようにしていくことが、会社の立てなおしには求められます。
売掛金や在庫が試算表で動いていない企業、この企業は、正確な損益が把握できていません。今すぐ、改善をはかるべきです。
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会社を立てなおすには、「やった方がよい」ことではなく、「やらなければならない」ことなのです。自社でできないのなら、顧問税理士にアドバイスを求めてください。そのようなアドバイスができない税理士なら、変えてください。
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