「コロガシ手形貸付」「当座貸越」の返済を求められた!
「コロガシ手形貸付」は、3ヶ月、6ヶ月、1年などの期間に区切り、分割返済をすることをせず、期日に一括返済という条件で借入しますが、その期日に新たに銀行から同額の手形貸付を受け、それを何回も繰り返す、そのような手形貸付のことを言います。
「当座貸越」は、極度内で自由に借入、返済ができる借入方法を言います。極度の上限に張り付いたままになっている状態を銀行用語で「ベタ貸し」と言います。
これらの借入方法は、分割返済ではないので、返済のことを考えなくてよく、資金繰りが楽です。これらの借入方法は、「正常な運転資金」を資金使途とすることによって実現できます。
正常な運転資金とは
「正常な運転資金」とは、
売掛金+受取手形+棚卸資産-買掛金-支払手形
の計算式で算出できます。もちろん、この中から不良売掛金、不良受取手形、不良在庫は除いて考えなくてはなりません。
「正常な運転資金」は、言わば企業の「立替資金」です。企業が営業を行っていく上で確実に発生するものであり、それを資金調達しなければなりません。
「正常な運転資金」は、常に発生しているものですから、分割返済には馴じみません。そのため、銀行は「コロガシ手形貸付」「当座貸越」で貸してくれるのです。
しかし、「コロガシ手形貸付」「当座貸越」という借入方法ができるのは銀行が行う自己査定の「正常先」の企業だけです。もし企業が「要注意先」となったら、銀行から借入を分割返済にするよう要請される可能性がとても高くなります。「要注意先」は、業況が芳しくなく、借入返済が危ぶまれる企業です。そんな企業に分割返済のない貸付を続けるのは、銀行にとってリスクが高いです。そのため、分割返済を要求されるのです。
そうなると、借りている企業としてはたまったものではありません。「要注意先」とは業況が悪化している企業のことです。また、資金繰りが悪化している企業のことです。資金繰りが悪化しているのに、分割返済を要求される。企業にとってはダブルパンチです。
それを回避する方法は、企業が「要注意先」にならないようにする、それしかありません。「要注意先」にならない対策を考える、それは企業にとって死活問題です。