後ろ向き資金
後ろ向き資金
融資の資金使途にもいろいろありますが、もっとも審査が通りにくいものが「後ろ向き資金」というものです。これは、企業の赤字を穴埋めする資金、売掛金・受取手形などが不良資産化したときに穴埋めする借入のことを言います。
なぜ後ろ向き資金が借りにくいのかというと、返済財源がないからです。
企業は利益、もしくは現金が流出しない費用である減価償却費(この2つをキャッシュフローと呼びます)から借入の返済をしますが、後ろ向き資金はそのような返済財源がありません。
あえていうなら、黒字転換後の利益もしくは遊休資産の売却と言えるのでしょうが、それらは確実性はありません。そのため、銀行は無担保では後ろ向き資金の貸し出しはめったにしません。そのため、担保を入れたり、信用保証協会を使うことになるのでしょう。
また、後ろ向き資金は、もし借りることができたとしても、返済財源がないのに返済しているわけですから、返済が進むと、当然資金は足りなくなります。黒字転換しないかぎり、また遊休資産を売却しないかぎり、返済が進んだ分を再び借入する(これを折り返し融資と言います)ことになるのが常です。
銀行には、もし後ろ向き資金を借入したい場合でも、
「赤字穴埋めのために借入したい」
「売掛金が引っかかったため借入したい」
と表立っては言わない方が得策です。「運転資金として借入したい」と言いましょう。運転資金という言葉は、とても便利です。立派な資金使途になります。